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じゃまおくんのザオリク的マンガ読み

うさんくささ全開! 東京五輪前に読むべきカオス漫画『ディアスポリス- 異邦警察-』

登場人物がみんなうさんくさい!

 本作の魅力は、なんといっても作品全体に漂う「うさんくささ」。これに尽きます。すぎむら先生の描く国籍不明のアクの強いキャラクターたちは、本作のうさんくささの演出に一役買ってい ますし、なにより脚本のリチャード・ウー先生がまたアレです。だって、長崎尚志名義で『20世紀少年』『MASTERキートン』といった有名作品を手がけるれっきとした日本人なのに、わざわざ本作では怪しげなアジア人風のペンネームに変更してるんですから。超うさんくせー(褒め言葉)。

 登場人物たちもみんな、どこか憎めないうさんくささです。久保塚の「相棒」として刑事になる男、「鈴木」は、もともと東大卒のエリート銀行員。しかし、50億円横領の罪をかぶらされ、逃亡犯の身となり、過去を捨てて裏都民になったのです。潜入捜査のために顔をとびっきりのイケメンに整形するも、肥満体型 のため彦摩呂似になってしまったという面白キャラです。

 裏都庁の都知事「コテツ」も、都知事らしからぬうさんくささ。年齢不詳のミャンマー人で、常にアロハシャツにサングラス、葉巻というスタイル。イサームという元テロリストで、裏都庁最強の女戦士をボディーガードに雇ってています。

 裏都庁のNo.2として助役を務める中国人の阿(アー)さん。表向きはネズミ・ゴキブリ・スズメバチなどの害虫駆除会社・「 アーさんの店」を経営していますが、中国で悪徳警官殺しをして国を追われた裏都民です。

 裏都庁公認の医師、邱(チュウ)先生は、不法入国者のため無免許のモグリ医師。裏都民の中でも評判のヤブ医者で、腕の悪さは自他ともに認めるところ。いや、自分で認めるなよ……。

 こんな感じでどいつもこいつも、日本にいてほしくない怪しい人物ばかりなのですが、実はやむを得ない事情があり、悲しい十字架を背負っている人たちばかりであることが、後々のエピソードを通してわかってくるのです。

対立する日本人も、割とうさんくさい

 裏都庁は普通の日本人には全く知られていないシークレットな存在ですが、その存在に気づき、日本から抹殺しようとしている組織があります。その名はシャドー・オブ・ポリス、通称「S・O・P」。表向きは警備会社ですが、実態は警察を汚職などの理由でクビになった奴らの集まる、警察OB組織です。

 ほかにも、元牧師が組長を務める新宿のヤクザ・黒銭会とか、全身に蝶の入れ墨を施した詐欺師で初代裏都知事の山本、裏都庁も表の都庁も支配しようとする悪徳政治家・暁天栄作、そして本作品の裏ボスとなる正体不明の男「はだかの王様」などなど、うさんくさい日本人がいっぱい登場します。どいつもこいつも、一般市民であれば誰一人として関わりたくないタイプです。

裏都民の国籍がカオスすぎて、何言ってんだかわからない

 登場人物の大部分が密入国外国人のため、いろんな国籍の言葉のセリフが飛び交うのも本作の特徴です。中国・韓国・タイ・フィリピン・ロシア・トルコetc……要所要所には日本語訳が入っているものの、面倒くさいからか、大部分は日本語訳なしのそのまんまです。

「ニイ ンゴイドオ セイ ア」「ジャングリー」「カカーヤ ニェブリヤートナステ」「チャィウェラーイークノイ」「アークォン ヴィー トイトイ ホンテー- ドゥアザーケット ルアン クオイクン」

 作中、普通に飛び交う謎のセリフの数々……。すげーカオス。何言ってるんだか、全然わかりません。

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