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ドラマ評論家・成馬零一の女優の花道

TBS『わたし、定時で帰ります。』シリアスな題材で光る、吉高由里子の“チャラさ”という才能

文=成馬零一

吉高由里子

 TBSの火曜夜10時枠のドラマ『わたし、定時で帰ります。』が話題を呼んでいる。

 本作は、会社での働き方に深く切り込んだ作品だ。始まる前は、主演の吉高由里子が定時に帰り、居酒屋を飲み歩くようなお気楽な内容になるかと思われていたが、予想に反したシリアスな内容だったため、第1話放送終了後、SNSでは主人公の働き方に対する賛否両論が巻き起こった。自分の職場と重ねて見ている人が多いようで、他人事ではないと感じているようだ。

 WEB制作会社で働く東山結衣(吉高)は定時になると誰よりも早く退社し、残業ゼロをモットーとしている。前の会社で超過労働による事故を起こし、意識不明の重体となった結衣は、今の会社に入る際に無理することはやめようと思い、効率の良い仕事を心がけて恋人との時間も大切にしていた。

 そんな結衣の考えは、働き方改革が叫ばれる世の中とマッチしたものだ。しかし、誰もが彼女のように生きられるわけではない。一生懸命働こうとするあまり、自分のやり方を押し付けて孤立する三谷佳菜子(シシド・カフカ)や、産後に復帰してワーキングマザーとして仕事ができることを証明しようとするあまり、育児との狭間で疲弊していく賤ヶ岳八重(内田有紀)。職場で空回りする彼女たちに対して「無理しなくていいんだよ」と結衣が受け止めることで、彼女たちがラクになる姿が、第1~2話では描かれた。

『ゆとりですがなにか』や『獣になれない私たち』(ともに日本テレビ系)など、会社を舞台にした話題作が近年増えている。会社モノがいま面白いのは、労働問題や女性差別といった、社会が抱える諸問題が会社に集約されているからだ。中でも「働き方」をめぐる世代間の意見対立は深刻で、50代前後の上司世代と新入社員に挟まれて葛藤する30代の中堅社員に、そのしわ寄せがいっている。上は昭和のバブル世代。下は何を考えているかわからないさとり世代。30代はその狭間で苦しんでいる。

 そんな悩める30代女子の葛藤をシリアスに演じ高く評価されたのが『獣になれない私たち』の新垣結衣だったが、近い境遇の30代女子を演じても吉高のほうが安心して見ていられるのは、彼女のほうが何倍も“チャラい”からだろう。

 吉高は現在30歳。女優としての彼女が世間に広く知られるようになったのは、蜷川幸雄の映画『蛇にピアス』だ。芥川賞を受賞した金原ひとみの同名小説を映画化した本作で吉高が演じたのは、ルイという少女。ルイは、タトゥー、スプリット・タン、ピアッシングといった人体改造にハマるアマ(高良健吾)と出会ったことで未知の世界へと足を踏み入れる。

 本作で吉高は、茶髪で巻き髪のギャルを演じている。劇中ではヌードを披露し、激しい濡れ場も演じているため、今の吉高しか知らない人が見たらショックを受けるかもしれない。

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