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ムショではブチアガる本を読みたい!

刑務所で食らった本とは? A-THUGとBESが激白するラッパーの“獄中読書”

文=宮崎敬太

――先ごろ、再始動した伝説的ヒップホップ・グループのSCARS。リーダーのA-THUGと重要メンバーのBESは刑務所に服役したことがあるが、収監中にどのような読書をしていたのだろうか――。獄中で喰らった本たちについて、2人が赤裸々に語る!

写真/西村満 

 “言葉”を生業とするラッパー。その中には刑務所にブチ込まれることになった者も少なくない。“塀の中”といえば、世間の情報が限りなくシャットアウトされているはずだが、そうした環境で彼らはどのようにして本に触れ、そこに書かれた言葉に何を感じたのか――。

 折しも、2000年代のいわゆるハスリング(ドラッグ売買を意味するスラング)・ラップ・ブームを牽引した伝説的グループ、SCARSが再始動した今、そのメンバーであり、“諸般の事情”により複数回の服役経験があるA-THUG(以下、A)とBES(以下、B)に話を聞かないわけにはいかない。ストリートの現実をラップし、数々のパンチラインでヘッズをうならせてきた2人のリリシストに、“獄中の読書”体験を語ってもらった。

「XXL」まで読める! 収監中にゲトれた雑誌

A-THUGとBESのほかSEEDA、STICKY、bay4k、MANNY、SAC、I-DeAらで構成されたSCARS。傑作とされながら長らく入手困難だった1stアルバム『THE ALBUM』(2006年)と、2ndアルバム『NEXT EPISODE』(08年)がリイシュー!

A BES君は何回刑務所に行ったんだっけ?

B 2回かな。最初に入ったときは「シャバに戻ったら派手に稼いでやる」って思ってたけど、2回目はさすがに心が折れた。もう2度と行きたくない。

A 何がそんなにキツかったの?

B やっぱ、雑居(房)での人間関係だね。些細なことで足をすくおうとしたり、しょうもない見栄を張ってマウンティングしてきたり。そういうクソめんどくせぇヤツらとかかわりたくなかった。トニー君(A-THUGの別称)は4回入ってるんだよね?

A うん。初犯のときの刑務所は雑居にいたけど、再犯以降はほとんど独居(房)だった。確かに、雑居はめんどくさいよね。整理整頓もちゃんとしなきゃいけないし、初犯だとオナラやゲップするときは申告して「失礼しました」って言わなきゃいけないから。でも、独居はそういうのは全然ないから、靴下とかそこらへんに脱ぎ捨ててたもん(笑)。

B 俺の場合、雑居はウザかったけど、部屋長が本当に優しい人でね。だから、その人の刑期が終わるまで残って、見送った後に独居に移った。刑務所って問題のある人間が集団生活してるから、そのへんはオヤジ(刑務官)たちも臨機応変に対応してるみたい。独居では本を読むようになったな。あと、雑誌も。
 

A 雑誌は意外と読めるよね。拘置所や刑務所の面会所に売店があるから。俺は「週刊プレイボーイ」(集英社)が好きだった。娯楽から社会の動きまで、いろんな記事が載ってて面白い。

B どの施設にも雑誌や書籍を取り寄せる目録があって、雑誌は好きなヤツが結構読めるよね。でも、買うためには当然金が必要。刑務作業ですずめの涙程度の金はもらえるけど、あんなんじゃ全然足りない。

A そうそう。だからシャバの仲間から差し入れてもらえる金が重要になってくる。一回に受け取れる本の冊数は決まってるけど。差し入れだと、俺がいた月形刑務所では海外の雑誌も読めたよ。施設によっては読めない場合もあるけど、「XXL」みたいなヒップホップ雑誌を読めたこともある。

B 注文できる雑誌は刑務所によって違うけど、基本的にヤクザ系や刺青系はダメ。最初は「実話時報」(休刊)くらいだったけど、2回目のときは「実話ナックルズ」(大洋図書)、「週刊実話」(日本ジャーナル出版)もダメって言われた。あと、エロ本も。規制がどんどん厳しくなってるみたい。

A マジで!? 「べっぴんDMM」(現「月刊FANZA」)ももうダメなのかな? 298円で安いから、大人気だった。性犯罪で捕まるヤツが増えたから、エロ本も見れなくなったのかも。だとしたら、懲役が懲役の首を絞めてるようなもんだ……。

B 俺は差し入れてもらったヒップホップ系ファッション誌の「411」(休刊)をよく読んだ。いっぱいウェアやスニーカーが紹介されていて、売ってる店や値段も書いてあったから、眺めるだけで楽しかった。

A 「シャバに出たら、これ買いたいなぁ」ってね。そういう意味では、俺らは恵まれてたと思うよ。ほとんどの受刑者はシャバに仲間がいなくて、差し入れなんてしてもらえないんで。俺は中にいたとき、友達が「FREE A-THUG」って言ってくれてるのを知って、スゲー感動したのを覚えてるよ。だって、中には身寄りのいない人たちもいっぱいいるからさ。

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