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欧米では当たり前、お隣韓国でも実施する「性犯罪者への薬物投与」で再犯防止はどうなるか?

イメージ画像/出典:acworks

 性犯罪者の再犯を防止するための方法として、薬物による治療があるのをご存知だろうか。この薬物治療、欧米では広く採用されており、国内でも取り入れようという動きが出ている。

法務省を中心に薬物治療の導入を検討

 2018年8月に「性犯罪の出所者らに国費で薬物治療」という一部報道があった。その内容は、「法務省が同種の犯罪を繰り返す傾向があるとされる性犯罪者や薬物犯、窃盗犯らの再犯防止策として、満期出所した元受刑者らに国費で薬物治療や認知行動療法を受けさせる制度を整備する方針を固め、19年度から実施の見通し」というものだった。

 今のところ、元受刑者らに実際に薬物治療が行われたという報道はないものの、法務省を中心に性犯罪者などに対して、薬物治療の導入が検討されている。

 性犯罪者に対する薬物治療は欧米では広く行われており、お隣の韓国でも取り入れられている。薬物の効果で性犯罪者の性的欲求や性衝動を抑制するのは「化学的去勢」と呼ばれ、薬物を注射や錠剤により定期的に投与することで再犯を防止する治療法だ。具体的には、薬物により性犯罪者の男性ホルモンの水準を低下させる。

 このため、食欲減退や吐き気など様々な副作用があり、“乳房が膨らんでくる”といった女性化の副作用が出ることもある。ただ、投与を中止すると副作用もなくなり、性的欲求や性衝動も回復する。

 06年の法務省の「性犯罪者処遇プログラム研究会報告書」(http://www.moj.go.jp/content/000002036.pdf)では、
「薬物治療について、性犯罪者の薬物療法は、現在日本において薬事法承認済みの薬剤を使用したとしても、いずれも承認された効能・効果外の使用であり、通常の矯正施設において提供される医療の範囲を超えることになり、本人の同意の任意性が担保できない以上、医療倫理の問題も生じる。さらに、断薬により症状がぶり返す傾向を考え合わせると、矯正施設出所後、あるいは保護観察終了後も継続的に薬物療法を受ける環境が整って初めて、矯正処遇あるいは保護観察処遇の一環としての薬物療法が有意義になると考えられる」としている。

 つまり、

①使用される薬物は、日本では複数の製薬会社からの薬剤が承認されているが、そのほとんどは例えば抗うつ剤のように効能・効果外の使用となる。

②副作用などがあり、本人の同意が必要となる。

③薬物の使用を中止すると、性的欲求や性衝動も回復する。

④出所後、継続して薬物療法を受けられる環境などの問題がある。

ということだ。

 その上、実際に薬物治療を行っている欧米でも、薬物の有効性や再犯防止への効果を疑問視する声もあり、また、プライバシーや人権といった問題も関わってくる。決して、強制的に薬物治療を受けさせるわけにはいかないからだ。

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