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「CIAの諜報員はあまり優秀ではない」暴露を“正当化”するスノーデンの危険な自伝

あるCIA元高級幹部が語ったスノーデン評

 あるCIAの元高級幹部は、スノーデンについて、厳しい表情で私にこう語っている。

「この手の罪を犯す者は、自分が何をしたのか、なぜ暴露をしたのか、多くを語りたがる。そして、ほとんどの場合、本当のことを話していない。スノーデンは米政府が国民を秘密裏に監視している活動に反対だからだと動機を語っている。だが、そもそも170万もの書類を盗み出しているが、そのうちのほとんどは国民への監視活動とは関係がない機密情報だった。それらは国民や同盟国の安全のためにテロリストなどの敵を探す目的で使われるものだったにもかかわらず、だ」

 そして、暴露されていない大量の情報は今どこにあるのかも、スノーデンは明確にしていない。同盟国などでも政府側の見方は、かなり冷ややかだ。

 とにかく、今も各方面で物議を呼ぶエドワード・スノーデンは、今回の著作によって「最終目標」に近づくことができるのだろうか。

 スノーデンが愛した、米国の重要な同盟国である日本の読者の方々にも、ぜひ手に取って一読してほしい。そして、スノーデンの功罪について、改めて考えるきっかけにしていただきたいと願う。

文・山田敏弘(やまだ・としひろ)
国際ジャーナリスト、米マサチューセッツ工科大学(MIT)元フェロー。講談社、ロイター通信社、ニューズウィーク日本版などに勤務後、MITを経てフリー。国際情勢やサイバー安全保障を中心に執筆を行う。著書に『ゼロデイ 米中露サイバー戦争が世界を破壊する』(文藝春秋)、『CIAスパイ養成官 キヨ・ヤマダの対日工作』(新潮社)、『サイバー戦争の今』(ベスト新書)。

●書籍情報
『スノーデン 独白 消せない記録』
エドワード・スノーデン著、山形浩生訳/河出書房新社

最終更新:2019/12/04 17:30
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