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背景に脱ゆとりと一汁三菜の衰退⁉ 小学校で「給食時間の私語禁止」が広がるワケ

文=日刊サイゾー編集部(@cyzo

イメージ画像(Photo by Ishikawa Ken from Flickr)

 平昌オリンピック時のカーリング女子チームがきっかけで話題となった「もぐもぐタイム」という言葉が今、全国の小学校で形を変えて使われている。給食の全時間および一部時間、私語を禁止する学校やクラスが増えており、「黙食」または「もぐもぐタイム」などと呼ばれているのだ。

 さらに、食べることに集中させるため、授業中と同じように机を黒板に向けたまま食べさせる学校もあるという。

 しかし、無言の給食時間は、児童たちにとって心理的ストレスになることもあるようだ。

「今年の5月ごろ、小学3年になったばかりの息子が、突然『学校に行きたくない』と言いだしたんです。理由を尋ねると、『給食の時間が苦痛』だと。息子によると、新しく担任になった先生の方針で、給食中の私語が禁止になったそうなんです。息子を含め、耐えられずしゃべってしまう児童も多いようで、そのたびに先生の怒号が飛ぶので、それがストレスになっているようでした」

 そう明かすのは、神奈川県在住の30代の主婦Aさんだ。

「すぐに息子の担任に私語禁止ルールの意味について問い合わせました。すると、『給食時間内に食べきれない児童が多く、十分な栄養摂取をさせるために仕方なく私語禁止にしている』ということでした。息子の小学校の給食時間は25分。配膳の時間を引くと、15分くらいしかないので致し方ない。私が小学生だった時は、給食時間は授業と同じ45分あったと記憶していますが……」(同)

 今の時代、給食時間が25分の小学校は珍しくはないようだ。その理由は「脱ゆとり」とも関係している。2011年に施行された新学習指導要領により、小学校の授業時数は6年間で5645時間となり、旧来より278時間も増加したのだ(※2020年度の改訂により、現行より140時間増えて5785時間となる)。それにより、多くの小学校では、休み時間や給食時間の削減を余儀なくされたのだ。

 一方、都内の小学校で教頭を務める50代の教員は、私語禁止にせざるを得ない別の要因を指摘する。

「子育て世帯に増えている共働き核家族にとって毎食一汁三菜を用意することは難しく、毎食、丼物や麺だけといったワンディッシュメニューという家庭も少なくない。そうした環境に育った児童は、複数のおかずがある給食を食べるのが苦手というケースもある。友達とおしゃべりをしながらだと、時間内に完食できない児童も少なからずいる。そうした児童の親から『給食を完食させてもらわないと、子どもが栄養失調になる』と、お叱りを受けることもある」

 現場にはそれなりの事情があるようだが、給食時間の私語禁止については「食事は楽しく食べるもの」「給食はクラスメイトとの交流の時間なのでは?」「まるで刑務所みたい……」と、SNSでは批判の声も上がっている。

 ちなみに、食事中に会話をしている児童の方が健康というデータもあるようだ(出展:「栄養学雑誌vol.51」)。

 学校給食法第2条にある「学校給食の目標」には、「学校生活を豊かにし、明るい社交性及び協同の精神を養うこと」という一文がある。子どもたちが「つまらない…」と感じてしまう私語禁止の給食で、果たして明るい社交性が身につくのだろうか。学校関係者は、給食の目的が栄養補給だけではないことを思い出すべきではないか。

最終更新:2019/12/06 16:46

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