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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】

働くほど不幸になるシステムっておかしくない? 非正規雇用者を襲うアリ地獄『家族を想うとき』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

さまざまなルールで縛られた名ばかり事業主

「高齢者には自分の親のように接する」をモットーにしているベテラン介護士のアビー(デビー・ハニーウッド)。就業時間外の呼び出しも多い。

 リッキーは個人事業主として親会社とフライチャンズ契約を結んでいるわけだが、個人事業主とは名ばかりで、さまざまなルールで縛られている。そのルールを破ると、ペナルティーを支払わなければならず、その日の売り上げはまるで残らない。個人事業主なので、仕事で使っているバンの経費やメンテナンス料は自分で払う必要がある。リッキーが病気やけがをしても、仕事を休むことは許されない。もし、休むのなら自分で代わりのドライバーを見つけなくてはならず、さもないと違約金が生じることになる。

 両親が家にいる時間がほとんどなく、その影響が子どもたちに現れることになる。長男のセブ(リス・ストーン)は高校を休みがちになり、壁への落書き“グラフティー”に夢中になっていく。12歳の娘ライザ・ジェーン(ケイティ・プロクター)は、不眠症になってしまう。子どもたちの問題で、リッキーとアビーは口論が絶えない。家族のために懸命に働いているリッキーとアビーだが、2人が頑張って働けば働くほど、家族はバラバラになり、どんどん不幸になってしまう。

 電通で起きた過労自死事件がきっかけとなり、日本でも「働き方改革」が進むようになったものの、正規雇用の社員たちを対象にしたものがほとんどだ。非正規雇用の労働者たちは、その恩恵には与ることは少ない。リッキーのような個人事業主には、労働組合もない。相談できる仲間もおらず、毎日を綱渡りのように生き延びるしかないリッキー。そのしわ寄せが、妻のアビーや子どもたちに向かうことになる。勤勉に働き、慎ましく暮らしてきたターナー家は、一家そろってアリ地獄に陥ってしまった。英国だけでなく、日本でも現実に起きている非正規雇用者をめぐる悲劇である。

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