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『日本国民のための愛国の教科書』将基面貴巳インタビュー

「国外脱出もしない」「政治的な発言もしない」日本人の歪んだ愛国心に、未来はあるのか?

文=斎藤岬(さいとう・みさき)

”揺り戻し”を期待するより仕方ない

――しかし、この状況下で海外に逃げようと考えられる人たちが実際に出ていってしまったら、日本社会はもっとダメになっていくのではないでしょうか?

将基面 そうですね。能力や意欲がある日本人が大挙して外に出ていってしまったら、国の衰退にいよいよ拍車がかかるでしょう。しかし、日本という国がいよいよ衰退して立ち行かなくなったときに、そうした国外で活躍する日本人たちが再結集し、協力し合って日本を立て直す、ということはあってもおかしくないと思います。明治維新の際に、薩摩と長州という、それこそ日本列島でいうと端っこにいた人たちが古い体制を倒したのと同じように、外に出ている人たちが新しい国造りをする。その意味では、いま若い人たちができるだけ外に出て自分を鍛え、市民社会の中で生きるということを深く理解した上で将来の国難に備えるという方策はあってもいいんじゃないかと思います。あまり政府が聞きたい話ではないでしょうが(笑)。

――長期的に見ると、確かにそうですね。でもやっぱり、目前の社会に絶望しながら生きるのはつらいので、短期的にどうにかならないのかなと思ってしまうんですが……。

将基面 僕はあんまり焦っても仕方ないと思います。保守派は、これまで30年以上かけてこうした状況をつくってきた。リベラル派は、目先の「日本スゴイ」的な浅薄な愛国心が支配する状況を打ち破ることばかりにかかずらうべきではないと思うんです。政治闘争に勝つ勝たないの話ではなく、50年100年というタイムスパンでこの国をどうすべきなのか、という視点が必要なんじゃないでしょうか。自由を守るという立場からあくまで理性的な議論にこだわれば、民衆扇動のレトリックを使うことに長けている保守派に政治的闘争では敗れることになるでしょう。でもその結果、行き着くところまで行き着いたら、また揺り戻しがかかると思う。そこまで見据えた上で、自分たちがやっていることは捨て石なんだというような覚悟が、リベラル派にはある意味で求められていると考えています。

――いずれ来る揺り戻しのために、今は準備しておくべきだ、と。

将基面 それを期待しないと、やっていられないじゃないですか(笑)。国土が焦土と成り果てた1945年8月15日の後でも、30年たったら一応の繁栄を築くことはできたわけです。だから揺り戻しを期待するより仕方ないですよ。

●将基面貴巳(しょうぎめん・たかし)
1967年神奈川県横浜市生まれ。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。シェフィールド大学大学院歴史学博士課程修了(Ph.D.) 。研究領域は政治思想史。現在はオタゴ大学人文学部歴史学教授。英国王立歴史学会フェロー。『ヨーロッパ政治思想の誕生』(名古屋大学出版会)で第35回サントリー学芸賞受賞。著作に『言論抑圧 矢内原事件の構図』(中公新書)、『政治診断学への招待』(講談社選書メチエ)、『反「暴君」の思想史』(平凡社新書)。最新刊は『日本国民のための愛国の教科書』(百万年書房)、『愛国の構造』(岩波書店)。

斎藤岬(さいとう・みさき)

斎藤岬(さいとう・みさき)

1986年、神奈川県生まれ。編集者、ライター。

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最終更新:2020/01/21 13:39
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