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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.568

恋愛コメディの旗手・今泉力哉監督がさらに進化! 新しい家族、新しい社会の在り方を描いた『his』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

LGBTをテーマにした今泉力哉監督の新作『his』。ボーイズラブもののジャンルに収まらない、新しい共同体の在り方を提示した作品となっている。

 今もっとも注目すべき映画監督として、今泉力哉監督の名前を挙げたい。社会からちょっとはみ出してしまった人たちを主人公にした、愛すべき恋愛コメディの数々を描いてきた才人だ。劇映画デビュー作『こっぴどい猫』(12)や震災後の死生観をテーマにした『退屈な日々にさようならを』(17)など監督自身のオリジナル脚本作を手がけることが多かったが、角田光代原作の『愛がなんだ』(19)がスマッシュヒットし、知名度だけでなく作品の世界観もぐんと広まった。現在公開中の『his』ではゲイカップルを演じる宮沢氷魚と藤原季節をメインキャストに迎え、「働き方改革」ならぬ「暮らし方改革」を提示した魅力的な社会派ドラマに仕上げている。

 物語の舞台となるのは自然に恵まれた岐阜県白川町。東京の一流企業に勤めていた迅(宮沢氷魚)はゲイであることを周囲に知られるのを恐れ、知り合いのいないこの町に引っ越してきた。庭で採れた野菜を近所に住む猟師の緒方(鈴木慶一)と物々交換したり、町役場移住サポート課の美里(松本穂香)らに支えられ、一軒家で静かな生活を送っている。

 そんな迅のもとへ、大学時代に同棲していたかつての恋人・渚(藤原季節)がひとり娘の空(外村紗玖良)を連れて現れる。プロサーファーを目指していた渚は迅と別れて豪州へ渡り、そこで通訳の玲奈(松本若菜)と知り合って結婚。空が生まれてからは、プロサーファーの道は諦め、家事と育児に専念していたという。ところが、ゲイであることが玲奈にバレてしまい、今は離婚を前提にして別居中。まだ幼い空を野宿させるわけにもいかず、渋々ながら迅は渚親子との共同生活を受け入れることに。

 8年前に渚と別れてからはずっと一人ぼっちで生きてきた迅にとって、空を含めた3人での生活は戸惑いと同時に新鮮さがあった。ほんの少し目を離しただけで、空はどこへ行くのか分からない。それまで自分のことしか考えてこなかった迅の中に、新しい物差しが生まれることになる。渚が新しい仕事を探している間、迅は空と一緒に卵料理を作り、自転車に乗る練習を手伝う。自分以外の人間に愛情を注ぐことの楽しさや喜びを知ることになる迅。空が打ち解けてくるにつれ、硬かった迅の表情も次第に豊かになっていく。

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