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GREEN KIDSが紡ぐ移民の歌 差別、暴力、貧困…日系ブラジル人が集住する団地発のラップ

孤独に苛まれて脱法ドラッグに依存

東新町団地は寂れつつあるとはいえ、南米系住民の姿をしばしば見かけた。

 90年の入国管理法改正をきっかけに在日ブラジル人数は増え続け、07年には31万人以上となっていた。ところが、移住開始100周年にあたる翌年9月、世界的金融危機、いわゆるリーマンショックが起こり、影響は日本の製造業にも及ぶ。関連工場でまず首を切られたのが派遣社員であり、そこには多くの外国人も含まれていた。

 当時、在日ブラジル人の失業率は40%台に達したという調査もある。また、日本政府は就労支援と帰国支援を行うが、前者の予算が約10億円だったのに対して、後者の支出は約50億円。“追い出し政策”と揶揄されたゆえんだが、結果、09年中に8万人近くが帰国の途に就いた。

ACHAの家の壁に掛けられていたキリストと聖母マリアの聖画像。

 東新町団地も見る見るうちに寂れていった。また、並行して日本人住民の高齢化が進み、自死や孤独死の話を聞くことが多くなった。ACHAの家の、真下の住民も2人が亡くなっているという。

「最初は自殺で、次に入ったおじいちゃんは孤独死で。それ以降、不思議と、下の部屋に引っ越してくる人は長続きしないんですよね。夜中、酔っ払って団地に帰ってきたらおばあちゃんが道にうずくまっていて、駆け寄ったら足が変な方向に曲がっていたこともあります。飛び降りで、結局、亡くなったみたい」

 一方、ACHAの家には、決して広くはないスペースに多いときで兄弟の家族を含め10人近くが暮らし、彼はストレスで円形脱毛症になったこともあった。それが、11年、両親が一時的にペルーに帰国したため、ひとり暮らしをすることになり、今度は孤独に苛まれる。

「金がなくなって、電気が止まって、メシはFlight-AとSwag-Aの家で食わせてもらって……。さらに、当時はやってた脱法ドラッグにハマっちゃったんですよね。頭がイカレて、パウダーを吸うストローをくわえたまんま、磐田駅の脱法ドラッグ屋に行ってましたから。やめられたのは、もう一度、ちゃんと、ラップをやりたいと思ったからです」

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