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ブラジル・フォトルポルタージュ【後編】

巨大祭典「リオのカルナヴァル」から学ぶ、人種の多様性がもたらす希望とは?

ブラジルに学ぶヒント④「すぐに声を上げ団結する力」

 現在、コロナウイルスはブラジルでも猛威を振るい、拡大中です。ブラジルのボルソナーロ大統領の「ウイルスは危険ではない、怖がらずに経済を動かそう」という、作為的とも思える発言に世界中が驚きました。しかし同時にブラジル政府議会や、特にブラジルの各州知事たちは内閣や政府を信用せず、独自の対策を早急に打ち出し対応しています。特にパラー州知事は誰よりも早く「私は私たちのパラー州を守らなくてはならない。ブラジル政府をあてにせず、我々は迅速、かつ独自に動きます」と、緊急記者会見のテレビ生中継は同州のみならず、ブラジル全土を熱狂させました。貧困層への迅速な食糧・医療支援がされ、その後、政府による3カ月の電気代補償も発表されました。

 声を上げること、時にはルールを破り必要な決断をすること。団結と抗議に意味があることをブラジル人はよく知っています。そして規制と補償はセットでなければ、ロックダウンする意味が生まれない。持たざる者を持てる者が救える社会を願う——。実は、どれも自然な社会性ではないでしょうか。

 前編でも紹介したように、ブラジルはその歴史背景から、国民が強く、決断と行動が早く、自主性と即効性があります、メディアを含め、あらゆる不自由な支配を許さず、国内に「自浄力」が機能しているといえます。一方の日本は、電子化やインターネットによるさまざまなシステム化が猛烈な勢いで進み、社会的混乱やストレスとなっていることも否めません。だからこそ「普遍性」とは何か、「本当に大切な物事、心」とは何か、「自然体の幸福な生き方」とは何かをよく確認し、正しい道を進む決断が求められているときなのではないでしょうか。

リオデジャネイロ市、コパカバーナ海岸の夜明け

 ブラジルには1908年以降「真面目で勤勉で、集中力と道徳心が強く、創意工夫に優れた、かつての日本人」が移住し(現在も日本国外最大の日系社会)、ブラジル社会に大きく貢献してきた日本人への敬意が根強い。2011年の東日本大震災発生時には「日本の国旗にあるように、日出ずる国なのだから、日本はまた必ずや再生する」と言われました。しかし、今回の新型コロナウイルスに対する対応の遅さ・悪さから露呈した「日本の歴史的社会体質の問題」には、ブラジルをはじめ世界が驚いています。日本の夜明け、新たな時代の日の出を、これからの日本人ひとりひとりが責任をもって担うことが求められているのではないでしょうか。(文・写真=KTa☆brasil[ケイタブラジル])

KTa☆brasil(ケイタブラジル)

東京生まれの日本人。子供の頃より日本の学校教育・社会・報道・政治のあり方に不自然さと不自由さ、国際性の低さを感じ、単身渡米後に10代より単身渡伯(ブラジル)。1997年以来、外国人先駆者としてさまざまな実績がブラジルの主要メディア~英BBCをはじめ各国で紹介されている。本場名門仕込みの打楽器奏者として、著名アーティストの作品レコーディング、世界各地のステージ・番組に参加。2020年もリオのカルナヴァルでNHK生放送番組レポーター、リオ市公式カメラマン、そしてトップリーグ採点対象打楽器奏者。Newsweek誌「世界が尊敬する日本人100」選出。

https://keita-brasil.themedia.jp

最終更新:2020/04/15 22:29
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