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安倍首相、どさくさまぎれの「改憲に意欲」緊急事態宣言延長で振り返る日本の新型コロナ

安倍晋三首相

 4月7日から7都府県に対して緊急事態宣言が発令され、16日には全国にその対象を拡大。当初5月6日までを予定していたこの宣言は、5月31日まで延長されることが決まった。

 この緊急事態の渦中において、日刊サイゾーでも数多く関連記事を掲載してきた。そこで、前代未聞の緊急事態の最中に、いったいどんな動きがあったのかを振り返ってみよう。

国立感染症研究所が「東京のインフルエンザ死亡数が激増」と発表、新型コロナとの関連性で物議に(https://www.cyzo.com/2020/04/post_236119_entry.html)

 国立感染症研究所が3月31日に発表した「21大都市インフルエンザ・肺炎死亡報告」では、東京の死亡者数が急増しており「新型コロナウィルスの関連死が含まれているのではないか……」という疑問が持ち上がった。

 同研究所の公表したデータでは、2020年の第9週目に突如として死亡者数が跳ね上がっており、予測値以上の死亡数が発生。この疑念は読者から高い関心を持たれ、次の記事では国立感染症研究所に対する直接の取材が行われた。

国立感染症研究所「病原体把握していない」と公式回答、『インフルエンザ死亡数激増』でやはり新型コロナも?(https://www.cyzo.com/2020/04/post_238580_entry.html)

 記者が感染症研究所に対して質問を送付したところ、このデータは保健所からの情報に依拠しており、同研究所では病原体は把握しておらず、各保健所の段階で、死因が新型コロナウイルスによるものか否かを把握する作業を行っていなければ、インフルエンザ・肺炎死亡者に新型コロナウイルスによる死亡者が含まれている可能性は高くなることがわかった。

 先日には、今年3月中旬から1ヶ月の間で警察が扱った遺体のうち、埼玉、東京、神奈川、三重、兵庫5都県の計11人が、新型コロナウイルスに感染していたことが判明しているし、ニューヨークでも陽性と診断されずに新型コロナウイルスで亡くなったとみられる市民は3700人以上を数えている。

 新型コロナウィルスがもたらしている「本当の被害状況」は、まだ明らかにはなっていないのだ。

「緊急事態宣言」がゆるいのは憲法せいじゃない! 安倍政権の改憲案の問題点とは?(https://www.cyzo.com/2020/04/post_237585_entry.html)

 緊急事態宣言の発表にあたって、様々な不満の声が噴出した。なかでも目立ったのが、「各国では罰則付きの厳しいロックダウンという措置が取られている中、日本では『自粛の要請』にとどまっている」というもの。そして、多くの人が、この理由を「憲法に責任がある」と考えているようだ。

 一般市民だけではない。

 安倍総理は5月3日に開催された憲法フォーラムにおいて「緊急事態において国民の命や安全を守るため、国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗り越えていくべきか。それを憲法にどのように位置づけるかについては極めて重く大切な課題であると改めて認識した」と発言しており、緊急事態を軸とした改憲への意欲を明らかにしている。

 このように、新型コロナウィルスのような「緊急事態」に対して、現行憲法が「役不足である」という論調が広がる中、弁護士の堀新氏に話を聞くと、そんな論調は「誤解」であると断言。現行憲法でも、風俗営業が規制されたり、大気汚染防止法で企業活動を規制したりと、法律による規制は可能だ。

 また、堀氏は、18年に自民党憲法改正推進本部が発表した憲法改正のための『たたき台素案』の内容を見ると、内閣に対して実質立法権を与える内容であり、三権分立を否定するものであると指摘。さらに、緊急事態の期限も明示されておらず、欠陥ばかりが目に付くという。

 緊急事態という雰囲気に煽られ、冷静な判断が難しくなっているが、少なくとも「緊急事態」を理由に憲法を変える必要はなさそうだ。

外出自粛CMでイメージアップ!? 小池百合子都知事に「まるで選挙運動だ」と自民党から怨嗟の声(https://www.cyzo.com/2020/04/post_238848_entry.html)

 テレビや街頭で流されるCMに積極的に露出している小池百合子東京都知事。政府に対して緊急事態宣言を早く出すように突き上げる姿勢を見せることで「政府VS都」という構図を作り、東京都独自の協力金を策定するなど、その存在感を高めている。

 今回、新型コロナ対策として、東京都では9億円の広告費を支出。しかし、小池都知事が全面に出てくるこのCM内容に対しては、「選挙の事前運動ではないか」との疑問の声が上がっている。

 また、YouTuberのHIKAKINとコラボするなど若者層へのアピールにも余念がない小池都知事。これらのパフォーマンスは、新型コロナに対する危機感の啓発であるだけでなく、都知事選に向けた「票の掘り起こし」と見られてもおかしくないだろう。

 その政治人生の中で、日本新党、新進党、自由党、保守党、自由民主党など、さまざまな党を渡り歩きながら、常に戦略を張り巡らし、権力者にすり寄ってきた小池氏。「政界渡り鳥」の異名も持つ彼女が見据えているのは、感染の収束ではなく、7月5日に行われる都知事選挙なのかもしれない。

萩原雄太(演出家・劇作家・ライター)

演出家・劇作家・フリーライター。演劇カンパニー「かもめマシーン」主宰。舞台芸術を中心に、アート、カルチャー系の記事を執筆。

Twitter:@hgwryt

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はぎわらゆうた

最終更新:2020/05/06 12:12
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