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「緊急事態宣言」がゆるいのは憲法せいじゃない! 安倍政権の改憲案の問題点とは?

『13歳からの天皇制』(かもがわ出版)

 新型コロナウィルスの感染拡大によって、「緊急事態」が東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡に対して宣言された。しかし、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づいて行われたこの宣言では市民に対してペナルティを課すことができる部分は非常に限られており、「自粛」を求めてきたこれまでの対応と基本的にはなんら変わらない。

 そんな日本と諸外国の対応の違いについて、SNS上などでは憲法にその責任を求める声が沸き起こっている。また、安倍首相は4月7日の衆院議院運営委員会で「緊急時に国民の安全を守るため、国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗り越えていくべきかを憲法にどのように位置づけるかは極めて重く大切な課題だ」と述べており、これを機に、憲法改正への議論を誘発したい思惑も見えてくる。

 いったい、「緊急事態」の渦中にあって、日本国憲法はどのように機能しているのだろうか?

「自粛要請」は憲法のせいじゃない

 「現在の日本国憲法においても、正当な目的のためどうしてもやむを得ない場合にはさまざまな権利を制限できると解釈されているし、現に多くの分野で制限されています。決して、憲法があるから制限的な措置が一切下せないというわけではありません」

 こう語るのは、弁護士であり『13歳からの天皇制』(かもがわ出版)の著書がある堀新氏。彼は、SNSやマスメディア上において、少なくない人が「憲法があることによって権利を制限できない」と「誤解している」ことに懸念を表明する。

「日本国憲法には『すべての基本的人権の享有を妨げられない』と、個人の人権についての規定があり、表現の自由や信仰の自由、さらに財産権や営業の自由などが保障されています。

 しかし、個人の自由を一切制限してはいけないというわけではありません。

 憲法の条文に『公共の福祉に反しない限り』という言葉がありますが、他人の権利や自由を守るため、また国民の安全や財産を守るためにやむを得ない場合には、一定の自由を制限することも許容されている。たとえば、大気汚染防止法で公害を出す企業に停止命令を出したり、風営法で風俗営業の自由を制限することは、一般には憲法違反とは考えられていません。

 ただし、目的のために必要な範囲を超えて法律で自由を制限しすぎた場合には、憲法違反と判断され、歯止めがかけられます。つまり憲法は、法律による制限の「いきすぎ」に対する歯止めになって、国民の自由や権利を最大限守る働きをしているわけです。

 現在『憲法に緊急事態条項を盛り込むべきではないか』という議論が活発になっていますが、これを制定した場合、憲法そのものが変質してしまうので、自由の制限に対する憲法の歯止めが効かなくなってしまう恐れがあるんです」

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