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大塚愛ホラーの処女作は案の定駄作 「小説なめんじゃねぇよ、大塚」の結末

案の定駄作…でも大塚愛節も?  ホラーの処女作「小説なめんじゃねぇよ、大塚」の結末の画像1
大塚愛(写真/Jun Sato ・特派員『GettyImages』より)

 去る8月21日に発売された「小説現代」(講談社)9月号に、作家としての処女作「開けちゃいけないんだよ」が掲載され、各メディアをにぎわせている大塚愛。発売日から10日後の31日、情報番組『ノンストップ』(フジテレビ系)にも出演し、自らが体験した怪奇現象を滑らかに語るなど、恋愛ソングのカリスマらしからぬトークで番組に花を添えた。

 そう、彼女の処女作は恋愛でも色恋沙汰でもエッセイでもない、ホラー小説であった。

 同誌には作家デビューに至る経緯や、ネタバレしない程度に作品から文節を抽出し、大塚の作家としてのこだわりなどを引き出す5ページに及ぶロングインタビューも掲載。これが処女作となる作品の前に掲載されたことで、ある程度、読者の期待値が上げているが……。結論から言えば、このインタビューの掲載順序は逆効果だったと言えるだろう。

 一口に“ホラー”といっても、さまざまなタイプがある。例えば海外のホラーは、残虐性に満ちて痛みを伴う肉体的ホラー(映画『13日の金曜日』や『死霊のはらわた』など)が大多数であることに対し、日本のホラーは呪いや祟りなどの心霊現象で恐怖感を煽る精神的ホラー(映画『リング』や『呪怨』など)が多く見受けられる(海外でも『リング』のリメイクがヒットを記録して以降、精神的恐怖を煽る作風は増えたように思うが)。

 言わずもがな、大塚愛の処女作「開けちゃいけないんだよ」は精神的ホラーに属す、日本の古き良き伝統を踏襲した作風だ。計13ページの短編小説、かつインタビューでも「書き終わるまで、五時間もかかっていないです」と述べているとおり、登場人物も主人公の小学4年生「さゆり」と、84歳の祖母だけで物語は展開していく(加えて、内容には関与しない穏やかで吠えない犬「サスケ」と、電話口で話した実母のみ)。

 あらすじを簡潔にまとめると、「さゆりは夏休みを利用して、毎年祖母の家にひとりで訪れる。その家の地下室には、シルバーのアルミシートに包まれた大きなもの――。去年までは何もなかったのに、今年の夏休みは、とんでもない恐怖に襲われる」といったところ。

「現代小説」同号に寄稿した作家の神永学氏は、8月27日付のブログで「構成、伏線回収と、どれを取ってもデビュー作とは思えない熟達ぶり(中略)どうやら大塚愛さんの『開けちゃいけない』箱の中には、小説家としての才能が入っていたようです」と、褒めちぎっているが正直、伏線の回収はそこまでされているようには思えない。

 そもそも「毎年訪れている祖母の家」で、「なぜ今年に限って恐怖体験を味わう」ことになったのか、大きな疑問が残る。とんでもない恐怖体験を味わわせた正体(=シルバーのアルミシートに包まれたもの)は、詳細は伏せるが“3年前”にさゆりの手元から離れており、“昨年”の時点ですでに、祖母宅の地下室に保管されてことが描写されている。つまり1年前、あるいは2年前に同様の恐怖体験を味わっていてもおかしくないわけだが、なぜ“今年に限った”ものだったのかの説明がまったくなされていないのは、少々引っかかった。

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