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ハリスはバイデンの次の米大統領か?米「タイム」誌の「今年の人」選出に飛び交う憶測

バイデン夫人との不仲に過去の不倫疑惑

 紆余曲折を経て、カマラ・ハリス氏に落ち着きかけるが次期ファースト・レディとなるバイデンの夫人、ジルが当初、この人事案に難色を示した。

 2019年6月、フロリダ州マイアミで開かれた民主党の第一回の大統領候補による討論会で、ハリスは、バイデンが過去に学校での人種差別撤廃のための政策に反対したと糾弾した。人種隔離政策を主張する南部選出の議員らと議会で協力したこともやり玉に挙げた。ジル夫人はこうしたハリスの発言に対し、「ジョーについて、人種差別主義者だと言うなんて見当違いも甚だしい」と強く反発していた。

 独身時代の20代後半時の話とはいえ、ハリスが当時、30歳以上年上の元サンフランシスコ市長、ウィリー・ブラウンと付き合っていたことも、「トランプに要らぬ攻撃材料を与える」と懸念する声があった。ハリスは独身でも、当時、ブラウンには10年以上別居していたが妻がいた。米国のウェブニュースサイト「VOX」(2019年1月28日付)で、ブラウン本人は「我々は交際していたよ。20年以上前の話だが」とあっさり認めているので、こちらは隠し立てするようなことでもなかったようだ。

 ジル夫人の強い反対に、過去の不倫疑惑とハリスに不利に働いた諸条件を最後に覆したのが、バイデンが自らの後継者として期待をかけたものの、2015年、脳腫瘍でなくなった長男のボー・バイデンとハリスとの友情だった。

 カリフォルニア州司法長官時代のハリスは大手銀行による住宅の不当差し押さえに取り組んだ。2008年のリーマンショック後、銀行は貸し倒れを恐れ、融資の回収を急ぐあまり、担保の住宅を不当に差し押さえた。こうした動きにハリス氏は2011年、バイデンの長男の故ボー氏とも協力し、米住宅ローンの不正で回収業者大手5社を厳しく追及した。この共闘から始まった友情はボーが亡くなるまで続く。

 ハリスは今回、タイム誌史上、初めて次期副大統領として登場したが、4年後の2024年の大統領選で民主党大統領候補として勝利すれば、再び、タイム誌の「今年の人」に選ばれることになるだろう。20年の「今年の人」の選出は“4年後”を十分に予兆させる人選となった。

本田路晴(ジャーナリスト)

連邦海外腐敗行為防止法 (FCPA) に関する調査、ホワイトカラー犯罪の訴訟における証拠収集やアセットトレーシングなどの調査・分析を手掛ける米調査会社の日本代表を経て現在は独立系コンサルタント。新聞社特派員として1997年8月から2002年7月までカンボジア・プノンペンとインドネシア・ジャカルタに駐在。その後もラオス、シンガポール、ベトナムで暮らす。東南アジア滞在歴は足掛け10年。

ほんだみちはる

最終更新:2020/12/20 15:35
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