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ハリスはバイデンの次の米大統領か?米「タイム」誌の「今年の人」選出に飛び交う憶測

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写真/GettyImagesより

 米「タイム」誌は毎年恒例の「パーソン・オブ・ザ・イヤー(今年の人)」に米大統領選で勝利し、第46代大統領への就任が確実となったジョー・バイデンと副大統領就任が確実となったカマラ・ハリスの二人を選んだ。「良くも悪くもその年の出来事に最も影響を与えた人物」が選ばれる「今年の人」は、2016年は大方の予想を覆して大統領選を制したドナルト・トランプ大統領が選ばれている。

 同誌のエドワード・フェルゼンタール編集長は「アメリカの物語を変えたこと。共感の力が分裂の騒動よりも大きいことを示したこと。悲嘆に暮れている世界で癒しのビジョンを共有したこと」を今回、バイデン、ハリスの両氏を選んだ理由に挙げた。フェルゼンタール編集長によると、1932年に選出された第32代大統領フランクリン・デラノ・ルースベルト(FDR)以降、選出されたすべての大統領は、その任期中の何らかの時点でパーソン・オブ・ザ・イヤーを受賞しており、そのうち大統領選挙の年にはほぼ12人がパーソン・オブ・ザ・イヤーを受賞しているという。

 しかし、同氏は「副大統領を含めたのは今回が初めて」と述べ、ハリスが次期副大統領として初めて、パーソン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた点を強調した。

「就任時に78歳と史上最高齢で大統領に就任するバイデンが、4年の任期をまっとうできないことを、すでに見越したかのような人選」(在ニューヨーク投資銀行家)と意地の悪い声も一部であがっているが、大統領がもし職務不能に陥れば副大統領が昇格すると憲法でも定めているので、これはあながち的外れの指摘ではでない。

バイデンの本命ではなかったハリス…

 初の黒人、南アジア系、そして、女性の副大統領候補となるハリス。今回の大統領選ではバイデンが弱いとされた若者、女性票の掘り起こしで一躍買い、激戦州においての大接戦での勝利に大きく貢献した。しかし、民主党関係者なら誰でも知っているようにハリスは当初、バイデンの本命の副大統領候補ではなかった。

 バイデンがまだ民主党の大統領候補の座を争っていた予備選時の今年3月15日、バーニー・サンダース上院議員(バーモント州選出)と討論した際に、副大統領に女性を起用することを表明したが、その時点では副大統領候補が白人となるのか、有色人種となるかは明らかにしていなかった。

 実際、その時点では、元ハーバード・ロースクールの教授で学生に人気の高い、党内左派でマサチューセッツ州選出のエリザベス・ウォーレン上院議員や激戦州ミシガンのグレッチェン・ウィットマー州知事、予備選にも出馬したエイミー・クロブシャー上院議員(ミネソタ州選出)といった白人女性の名前が副大統領の有力候補として上がっていた。

 それが5月25日、ミネソタ州ミネアポリスでジョージ・フロイト氏が白人警官による暴行で死亡する事件が起きると民主党内の空気が一変した。ブラック・ライブス・マター(BLM)をはじめとする人種差別反対運動が全米に広がると、有色人種の女性が望ましいとする声が急速に党内に広がった。有力な副大統領候補の1人だったクロブシャー上院議員も6月18日、テレビの取材に対し、「今、副大統領候補に求められているのは有色人種の女性だ。非常にふさわしい女性が数多くいる」と述べ、副大統領候補選考からの辞退を表明した。

 有色人種の女性副大統領候補ということで、アトランタ市長のケイシャ・ランス・ボトムス、2018年のジョージア州知事選挙で、米国初の黒人女性知事を目指し善戦したステイシー・エイブラムスなど、何人かの黒人女性名が候補として浮上しては消えた。その中で一時、最有力候補して急浮上したのが、共にオバマ政権を支えたスーザン・ライス元大統領補佐官(国家安全保障担当)だった。

 補佐官の前は国連大使を歴任するなど経歴、能力的にも全く遜色なかったが、オバマ政権時の二期目、次期国務長官に名前が上がりながら、リビアのベンガジ米領事館襲撃事件をめぐる発言で当時野党の共和党議員らに猛反発され指名が見送られたことや、一度も選挙の洗礼をうけていないことが疑問視された。

 次に名前が上がったのがイリノイ州選出のタミー・ダックワース上院議員。従軍していたイラク戦争で操縦していたヘリコプターが墜落し両足切断の重傷を負った歴戦の勇士。しかし、ダックワースは米国人の父親とタイ人の母親との間に生まれたが、米国でなくタイで生まれたことが問題視された。米憲法はアメリカで生まれたことを大統領になる条件にしているので副大統領候補とはいえ、トランプの絶好の攻撃の的になることが懸念され、この人事案も最終的には流れた。

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