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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.617

1970年代リスペクトな新春アクション映画2選! 『スタントウーマン』『燃えよデブゴン』

“宇宙最強の男”ドニー・イェンが婚約者に棄てられて過食症に

ドニー・イェンが歌舞伎町で暴れ回る『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』。

 
 アクション映画好きには、こちらの作品も見逃せない。“宇宙最強の男”ドニー・イェン主演の『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』だ。サモ・ハンが主演したアクションコメディ作『燃えよデブゴン』(78)のタイトルとブルース・リーに憧れる肥満体の主人公という設定だけを借りたものだが、特殊メイクで120kgの体型になったドニーのアクションは相変わらずキレッキレ。「るろうに剣心」シリーズを大ヒットさせた功労者・谷垣健治監督と師匠・ドニーとの息のあったコンビぶりが楽しめる。

 新宿の歌舞伎町や東京タワーを再現した巨大セットで繰り広げられるカンフーアクションが、大きな見どころ。いつもはヒーロー然としているドニーだが、今回はやりすぎ捜査の数々で職場で煙たがられている香港警察の捜査官という役どころ。捜査に熱中しすぎるあまり、婚約者からも別れを告げられるはめに。過食症に陥り、メタボ体型になってしまう。正義のために犯罪者と戦うものの、正義のための戦いもまた暴力であることは自覚できていない。男性と女性との間には、大きな価値観の違いが横たわっている。昔ながらのコメディ要素たっぷりな香港アクション映画の中に、女性視線をいれることで現代的にアップデイトさせた作品だ。

 愛のためなら仕事を辞めてもいいと決意するデブゴンだが、婚約者は「あなたから生きがいを奪うことはできない」とつれない。じゃあ、どうすればいいんだよと、デブゴンならずとも叫びたくなる。愛とはとても不条理なものだ。理不尽極まりない。だが、その理不尽の谷を飛び越えてみせる勇気がないと、愛は決して成就することはない。

 恋愛の世界には、残念なことにスタントは存在しない。覚悟を決めて、相手のハートに向かって全力で飛び込むのみである。富も名声も関係ない。その勇気のみが讃えられる。

 

『スタントウーマン ハリウッドの知られざるヒーローたち』
製作総指揮/ミシェル・ロドリゲス 監督/エイプリル・ライト
配給/イオンエンターテイメント 1月8日(金)よりTOHOシネマズ シャンテほか全国ロードショー
c)STUNTWOMAN THE DOCUMENTARY LLC 2020
http://stuntwomen-movie.com


『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』

監督/谷垣健治 脚本/ウォン・ジン
出演/ドニー・イェン、テレサ・モウ、ウォン・ジン、ニキ・チョウ、竹中直人、丞威、渡辺哲、バービー
配給/ツイン TOHOシネマズ新宿ほか全国公開中
c)2020 MEGA-VISION PROJECT WORKSHOP LIMITED.ALL RIGHTS RSEREV.
https://debugon-tokyo.jp

最終更新:2021/01/09 12:53
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