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『家、ついて行ってイイですか?』命を使い切り、最期もキメて逝ったイノマー「余命は俺が決める」

‘「余命なんて俺が決めることなんだ」(イノマー)’

 10月22日、イノマーにとっての“人生最大ライブ”が行われた。会場には約3,000人のファンが集まっている。ヒロさんがホテルに迎えに行くと、イノマーは杖を突いていた。

「目が見えないね。視野が5メートルくらいしかない」(イノマー)

 進行が早い。歩くのもやっとの状態だ。明らかにイノマーが弱っているのがわかり、辛くなってしまう。しかし、イノマーが気にするのは会場の入りだった。

イノマー 「集まってきてる、お客さん?」
ヒロさん 「お客さん、すごいことになってる。信じられないくらいいるもん!」

 会場に着いたイノマーは満身創痍だった。固いものを食べられない彼はツナサンドを口にしたが、「美味いですか?」の問いには首を振った。味なんてわからないのだろう。ただ、楽屋で仲間のライブを見る時の目はギラギラしている。

 オナニーマシーンの出番がやってきた。舞台裏では極限状態だったイノマー。でも、ステージに立った瞬間、本当にいい顔になっていた。ベースを持ったその時、イノマーは完全にスイッチが入った。

「俺が何言ってるか分かんない人もいると思いますけど、何となく俺が言ったこと分かったようなフリしてください」(イノマー)

 周囲に気を遣うタイプだというイノマー。ファンの気持ちを察しつつ「俺は何も変わってない!」という宣言に受け取れた。

「舌……舌ないけど、舌ないけど歌います」(イノマー)

 この日のイノマーのステージ衣装は上下赤のアディダスのジャージである。

「死装束ですよ。(客席に)笑って笑って笑って、笑ってよ! いいじゃん、こんなの笑ってももう。余命なんて俺が決めることなんだからさ」(イノマー)

 車椅子でステージに登場した時のイノマーは憔悴し切っているように見えた。しかし、曲が始まるとイノマーは立ち、歩き回ってパフォーマンスしている。どこにそんな力が残っていたのか? 「ポコチンが泣いている オマンコも泣いている」と最期の力を振り絞り絶唱する、命をかけたライブだ。すごいものを見ている気がする。そういえば、自宅取材でヒロさんはイノマーの一生を「命を使い切り死んでいった」と表現していた。

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