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ドラッグ疲れでメディテーション──大麻・瞑想・オーバードーズ! 米ドラッグビジネス最新事情

文=小林雅明

──アングラだろうがメインストリームだろうが、ヒップホップとドラッグの関係は今も昔も揺るぎない。「売人」であった彼らが、いつしか「ユーザー」となり、果ては正規の「ビジネス」までに発展させる。そんな彼らのリリックや生きざま、昨今垣間見られる温故知新も追いながら、アメリカのラッパーとドラッグの密接な関係を見ていこう。(「月刊サイゾー」12月号より一部転載)

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(絵/長嶋五郎)

 2020年10月、ジェイ・Zが新たにマリファナ・ブランド〈モノグラム〉を立ち上げるとの報道があった。具体的な内容については明かされていないが、今やラッパーよりも実業家としてのほうが目立った動きを見せているジェイ・Zが、昨年から事業戦略担当として携わっていたマリファナ・ビジネスに本格的に参入することになる。

 現在、全米15州で嗜好用大麻が合法化され、36もの州で、医療目的での大麻の使用が認められており、こうした合法化や非犯罪化が拡大すると見越しての動きだろう。だが、ジェイ・Zの動きはラッパーでマリファナ・ビジネスへ進出した者の中ではかなり遅いほうだ。その先鞭をつけたのは、サンフランシスコのラッパー、バーナーで2010年のことだった。彼が最初に扱っていたマリファナ品種「GSC」は年々人気を高め、今や大麻の大手ブランドのひとつになっている。

 ヒップホップの歴史を振り返ると、かなり早い時期からマリファナについて触れてきたが、それを最初に大ヒットに結びつけ、マリファナの啓蒙者としてのイメージを多くの人に植え付けたのは、90年代初頭に一大ブレイクを果たしたスヌープ・ドッグであり、B・リアル率いるサイプレス・ヒルであった。

 マリファナ・ビジネスへの参入に際して、両者が目安にしていたのは、大麻解禁のタイミングだった。そしてもうひとり、世界中で愛されている映画『ワイルドスピード スカイ・ミッション』(15年)のエンディング曲「See You Again」も担う人気ラッパーで、自身の曲では好んでマリファナを取り上げているウィズ・カリファだ。

 例えばウィズの場合、14年1月1日に嗜好用大麻の販売が始まるコロラド州に本拠地を置くリバーロック・カナビス社と提携した。そこで、特別交配により生み出されたオリジナル品種「カリファ・クッシュ」を販売したり、別の会社とは「ラウド・パック」と名付けた巻き紙の製造で手を結んでいる。10年の時点で1カ月あたり1万ドル(約100万円)をマリファナに費やしていたくらいだから気合が違うだろう。

 これがヒップホップシーンにおける大先輩スヌープともなると、目先のビジネスよりも、社会全体の動きを見据えているようなところがある。地元カリフォルニアでの医療用大麻の宅配サービス「イーズ」へかなり早い段階で投資していたスヌープは、16年の同州での嗜好用大麻合法化に先駆け、医療用大麻を中心にした関連情報を総合的に伝えるデジタルメディア「メリー・ジェーン」を開設。と同時に、オリジナル大麻ブランド「Leafs by Snoop」も立ち上げている。

 そして、より一般視聴者への啓蒙を意識したのか、16年にライフ・コーディネーターのマーサ・スチュワートとの異色コンビで、バラエティ番組『Martha & Snoop’s Potluck Dinner Party』をスタート。エンタメ界からさまざまなゲストを招き、マリファナネタを盛り込んだ番組構成となっている(シーズン3からはゲストの趣向を変えて料理で対決する番組になった)。

 さらに、カナダの世界有数の大麻関連会社「ツイード」へスチュワートを商品開発アドバイザーとして推薦、経済的苦境に陥っていたオンタリオの小さな街に同社の事業を誘致し、街の経済を復興へと導いた。

 ちなみに、大麻に関するデジタルメディアに先鞭をつけたのは、B・リアルで、彼の作り上げた「BREAL.TV」で公開された過去の番組も、最新収録のものも現在はYouTubeで見ることができる。なお、大麻ビジネスの内訳は算出できないが、スヌープの年収は1650万ドル(約17億円)、ウィズが1850万ドル(約19億円)と、音楽活動のみとは思えぬ額を叩き出している。

 違法でもなんでもとにかく好きでマリファナを売っていた、いちドラッグ・ユーザーが、自分が好きで好きでたまらないマリファナについてラップしたら、今度はそれが大ヒットして財を築く。合法化の波が来たら、それに乗ってマリファナ・ビジネスに本格参入──これはなんと都合のよい展開なのだろう。ところが、まったく同時期のラップ・シーンを俯瞰してみると、ドラッグ・ユーザーとしての、しかも合法ドラッグのユーザーとしてのラッパーが、棘の道を歩く世界が広がっていた。

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