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警察の違法な職務質問と尿検査が横行する? 「大麻使用罪」導入で危惧される日本社会の逆行と人権侵害

尿検査で「区別」できない大麻の陽性反応とは?

警察の違法な職務質問と尿検査が横行する? 「大麻使用罪」導入で危惧される日本社会の逆行と人権侵害の画像2
写真/GettyImagesより

 では、仮に大麻の使用罪が導入されたとして、運用面で問題はないのか? 薬物事犯を数多く担当してきた弁護士のA氏によれば、「違法に近い職務質問や留め置きが横行する恐れがある」という。

「使用罪がすでに設けられている覚醒剤や麻薬の事件の場合、手続き上は尿検査で使用の有無を判断します。その尿検査は大体、職務質問が起点になるのですが、路上などで『尿を出せ』と言われても普通は出しませんよね。所持品と違い、尿は我慢すればいいのだから。そもそも職質も尿の提出も任意なのですが、それを理由もなく拒むと警察は裁判所から捜査差押令状を取り、強制採尿という形で医師が尿道にカテーテルを挿入して尿を採取します」(A氏)

 ちなみに、強制採尿はかなり痛いらしい。

「尿の提出を拒む人をその場に長時間にわたって留め置き、そうしている間に令状を取ってくることもできる。これは事実上、令状なしに強制採尿するのと同じことです。加えて、排泄物とはいえ、体内にあるものを取り出すのに捜査差押令状で足りるのかという議論もある。令状が想定しているのは家宅捜索や車内捜索などであり、それを場合によっては身体に被害が及ぶ可能性がある強制採尿に適用してよいのか、と」(同)

 大麻にも使用罪が導入されれば、警察としては尿を採取しようとさらに躍起になり、徹底的に職質をかけてくることが予想される。それはある意味、意図的に犯罪率を上げるような行為であり、なおかつ職質からの採尿には無理がある。そして、無理を通そうとするほど違法に近づいていくというわけだ。他方で、弁護側として戦い方も変わってくるのだろうか?

「そこにもひとつ問題があって、大麻取締法における『大麻』とは、THC(いわゆる“ハイ”をもたらす成分テトラヒドロカンナビノール)を多く含む花穂(かすい)、あるいは葉の部分を指し、茎と種子は除外されているんです。例えば七味唐辛子に麻の実が入っているのは、種子は規制されていないから。では、茎と種子にTHCがないのかといえば、微量ながらあります。でも、その茎や種子を大量に摂取して尿検査で陽性反応が出ても、それを有罪にする法律はないんです」(同)

 大麻取締法は刑罰法規であるため、罪刑法定主義でなければならない。罪刑法定主義とは、人権保護の観点から国民に「これをやったら罪になります」とあらかじめ告知した行為しか罰してはいけないというルールだ。

「問題なのは、尿検査では大麻の反応が花穂や葉から出たのか、茎や種子から出たのか区別できない点です。そこが曖昧だから大麻取締法で使用罪は成立しないと主張する法律家もいます。正直な話、茎と種子でハイになろうとする人がどれだけいるのかわかりませんが、被疑者とされる人が花穂か葉を吸食したと立証できなければ有罪にならないのが刑事司法のルールです。そこをどうクリアするのか、疑問ですね」(同)

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