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「大麻使用罪」の導入の是非は? 賛成派が見落としている論点

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※イメージ写真/GettyImagesより

 2021年1月18日、ツイッターのトレンド欄に突如現れた「大麻使用罪」という言葉。この見慣れない文字列を巡って論争が起きている。ことの発端は13日、厚生労働省が大麻に関する規制のあり方を見直す有識者検討会を設置し、これまで罪に問われなかった大麻の「使用」への罰則適用を検討すると報じられたことだ。報道各社がこぞって記事化し、SNSで拡散するなかで論争に火がついた。

 芸能人の逮捕で注目を浴びることの多い大麻だが、法律で禁じられているのは大麻の所持や栽培、売買、密輸などで、「使用」については罰則がなかった。大麻を使用した者が職務質問されたとして、吸引具が見つかったり、尿検査で陽性反応が出たりしても大麻自体を所持していなければ逮捕されることはなかったのだ。

 なぜか。例えば都道府県知事の許可を得て衣服や漁具などをつくるために大麻を栽培する農家があるが、収穫作業中に大麻に含まれる向精神作用のある物質(THC等)を吸い込む可能性がある。また、七味唐辛子に含まれる麻の実(大麻の種子)にも微量ながら同様の物質が含まれている。こうした日常のなかで意図せずTHC等を摂取してしまうケースを、薬物乱用を目的とした使用と混同しないためだとされる。

 大麻使用罪の導入はいわば大麻の厳罰化であり、これが実現すれば立件される人数は確実に増えるだろう。

 近年は若者を中心に大麻使用が広まっていることが指摘されており、2020年9月に警察庁が発表した「令和2年上半期における組織犯罪の情勢(暫定版)」によると、2020年上半期の大麻事犯検挙人員は2261人と過去最多の数字だ。しかし、大麻使用者の多くは盛り場などで“回ってきた”ものを吸うケースが多く、「所持」や「売買」では立件できなかった。こうした状況であるため、SNS上では大麻使用罪の導入を歓迎する声も多い。

 しかし、論争が起きていると先述したように、大麻使用罪に反対する声も存在する。代表的なものが弁護士の亀石倫子氏らがオンライン署名サイト「Change.org」で1月14日に立ち上げたキャンペーンだ。亀石弁護士は「厳罰化は、誰も幸せにしません」と述べ、「取り締まりを強化して、警察、裁判所、刑務所などに莫大な税金を投入するよりも、非罰化の方向に政策を転換し、薬物の使用による健康被害や社会的な悪影響を減らすことのほうが、はるかに費用対効果が優れています」と訴える。

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