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R-1グランプリ、盛り上がりに欠けた理由は「出場者に感情移入ができない」 求められる抜本的改革

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『R-1グランプリ2021』公式サイトより

 今年から出場資格に「芸歴10年以内」という制限が設けられた『R-1グランプリ2021』は、ゆりやんレトリィバァの優勝で幕を閉じた。番組構成の不備なども話題になっているが、そもそも「芸歴10年以内」になって、ネタのレベルに変化はあったのだろうか。

「“裸芸”もなかったし、インパクト重視の飛び道具的なネタもなく、一見すると地味な印象だったのは間違いないと思います。キャリアが浅い芸人が多かったこともあり、どの芸人もネタの完成度が低く、このままの状態で売れっ子になっていくビジョンはなかなか見えなかった。リニューアル一発目ということも含めて、“発展途上の大会”という色合いが濃かったと思います」(テレビ局関係者)

 平均世帯視聴率は関東地区が6.6%、関西地区が10.6%(ともにビデオリサーチ調べ)と、まったく振るわなかった。

「決勝進出のメンバーが、ほとんどテレビに出ていない芸人ばかりだったことも低視聴率の要因でしょう。フレッシュなメンツを揃えることも重要ですが、テレビ番組として成立させるのはさすがに無理。メンツをフレッシュにするなら、なんらかの形で大会を盛り上げる努力が必要だと思います」(同)

 R-1グランプリという大会を盛り上げるには、いったい何が必要なのか。ある構成作家はこう話す。

「M-1グランプリの場合、“前回大会や前々回大会で惜しかったコンビは今年どうなるんだろう”というようなバックストーリーが生まれてくる。過去に酷評されたコンビのリベンジ物語なんていうのもある。そういった“ストーリー要素”があるから、視聴者も感情移入ができるし、自然と大会が盛り上がる。でも、R-1にはそういったカラクリが一切ないんですよね。今年は特に、ほとんどが初決勝進出者だったということもあり、仕方ないとはいえ、バックストーリーがなさすぎました」

 R-1グランプリをM-1くらい盛り上げるための、具体的なアイディアはあるのだろうか。

「ヒントとなるのは、アイドルなどのオーディション番組でしょう。オーディション番組というのは、半年とか1年とか密着し、そのなかで視聴者は“推し”の候補者を見つけて、自然と感情移入するという機能があります。

 R-1も今みたいなオープントーナメントではなく、リーグ戦のような形で年に何回も予選を行い、その模様を地上波もしくはネットでは配信すれば、視聴者も“推しピン芸人”を見つけることができる。長期にわたるドラマを展開させることで、上手くバックストーリーを組み立てていく……なんていう方法論もあると思います。逆に言えば、それくらいやらないないと、R-1は盛り上がらないのでは」(同)

 今に始まったことではないが、M-1グランプリに比べて、注目度が低いR-1グランプリ。「芸歴10年以内」という制限を設けたことは、盛り上げるどころか、むしろ逆効果だったと言わざるを得ない。大会存続のためには、抜本的な改革も必要なのかもしれない。

浜松貴憲(ライター)

1980年生まれ、東京都出身。大学卒業後、出版社に入社。その後、いくつかの出版社を渡り歩いた末に、現在はフリーライターとして、テレビ番組、お笑い、YouTubeなど、エンターテインメント全般について執筆している。

はままつたかのり

最終更新:2021/03/11 13:00
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