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菅義偉内閣、NTT幹部たちによる総務省官僚接待疑惑は巨大な企業の内部抗争へーー

嵐・櫻井翔の東日本大震災、被災地取材10年

 ところで、元「嵐」というべきか、櫻井翔が先週の「ニューズウイーク日本版」で、「東日本大震災から10年 いま伝えたい『3・11の記憶』」という長編のドキュメンタリーを書いていた。

 櫻井は『news zero』(日本テレビ系)のキャスターとして東日本大震災の被災地の取材を続けてきたという。なかなかの力作である。

 先夜、友人から聞いたが、櫻井は辺見庸が好きだとテレビで発言したそうだ。辺見の『もの食う人びと』を読んでファンになったそうだ。

 そのおかげで、辺見の本が売れている。辺見本人が櫻井に感謝しているという。

 辺見と櫻井とは、面白い組み合わせである。どこかで対談しないかな。

 さて、今週も1位を独走するのは文春の総務省スキャンダルである。

 文春砲の勢いは衰えない。山田真貴子広報官が東北新社から超高額な接待を受けていたことを報じて首にし、返す刀で、谷脇康彦総務審議官も同様だったと飲食接待の詳細を公表した。

 谷脇を事務次官にしたい菅首相は、事務次官級の総務審議官のままにしておいたが、文春は、NTTの元社長の鵜浦博夫からも高額な接待を受けていたことを報じたため、3月8日付で官房付へと更迭されてしまった。

  そのため谷脇は今月末で定年退職になる。退職金は6000万円になるといわれるが、ペナルティを科せられて減額されるのではないか。まるで藤井聡太二冠の将棋を見ているような文春の詰めの鋭さである。

今週は、総務大臣在職中の野田聖子が2回、高市早苗が2回、菅の右腕の山口俊一副大臣が10回、総務政務三役は41回も、NTT側から高額な接待を受けていたと報じている。

文春によれば、総務省政務三役への接待を時系列で並べて見ると、15年から17年間の3年間は10回だが、18年から20年までの3年間では26回と、ハイペースで接待が行われていたそうだ。

 18年は、菅官房長官(当時)が携帯電話料金を4割下げる余地があるとぶち上げ、通信業界に激震が走った年だったから、NTT側が情報集めを急いだのではないか。

 深田純社長は、菅政権発足直後に、収益第3位のドコモを強くすると啖呵を切り、11月17日には約4.2兆円を投じてTOBを成し遂げ、12月3日には格安料金プラン「アハモ」を発表、25日にはドコモの上場を廃止して子会社化を完遂と、矢継ぎ早に手を打っていくのである。

 経済部記者は、そうした時期に接待が増えたのは、「ドコモの子会社化に向け、政治家や官僚に対する地ならしの意味があったのでしょう」と推測している。

 そんな澤田を買っているのが菅だという。「菅さんと澤田さんはソフトバンクの“孫正義憎し”で意気投合している」(双方を知る財界人)。谷脇も、通信分野の競争政策をライフワークにしており、澤田とは10年来の付き合いだそうだ。

 携帯電話の料金をどこまで下げられるのか、NTT側の腹を探りたい谷脇、バーターでドコモを完全子会社化したい澤田との利害が一致したということのようだ。

 元東京地検特捜部検事の若狭勝弁護士は、「政務三役として職務権限を持つ者が接待を受け、その席で職務権限に絡む話が出ていれば、何も請託(お願い事)がなくても単純収賄罪に該当する可能性があります」といっている。

 元社長の鵜浦博夫は文春に対して、「俺、別にあんなんで何かモノ頼むとかしない!」と憤っているが、「あんた方が、あんなデータをどっから取ってくるのかのほうに不信感がある」と語っている。

 鵜浦がいいたいのは不信感ではなく、文春の取材力への驚きと、誰が通報者なのかを知りたいということだろう。反澤田の人間であることは分かるが、単独なのか複数なのか。どのレベルの人間なのか。

 文春が誌面で公開している接待当日の「会計情報」には、2018/09/20(木)18:30~22:30 3名とあり、和食コース 単価¥12,000。別の日には赤ワイン ¥135,000とある。両日ともに接待相手は谷脇だが、赤ワインがキスラーのピノ・ノワールと書いてあるわけではない。

高市大臣(当時)の時には、「辛いものやメロンがNG」だと事務所から事前連絡があったと書いている。接待日と相手を知り得る人間、接待のメニューが何であったのかを知り得る人間、谷脇が5000円の領収書をもらったことを知り得る人間は誰かと推理すれば、複数の人間がいると考えるのが合理的であろう。

 文春によれば、澤田は菅と親しく、26年まで社長の座に居続けることを画策しているというから、それに反対している勢力があると考えても無理はない。

 NTT幹部たちによる総務省官僚接待疑惑は、NTTという巨大な企業の内部抗争へと広がりそうな予感がする。(文中敬称略)

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