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働き口は減ってるのに…3月の“現金給与額”が上昇!?  統計を分析して見えた悲惨な現実

やっぱりお給料はあがっていなかった…

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 2015年を100として指数化した常用雇用者指数の前年比の動きを見ると、一般労働者は2020年2月以降、2021年3月まで前年比でプラスを維持している半面、パートタイム労働者は2020年4月以降、同11月にはゼロに回復したが、それ以外は2021年3月までマイナスで推移している。

 これは、パートタイム労働者の常用雇用者が、新型コロナウイルスの感染拡大により、大きく減少したことを示している。

 一般労働者に比べ、賃金水準の低く、さらに賃金減少幅が大きいパートタイム労働者数が大幅に減少したことにより、現金給与総額を算出する際にマイナス要因となる分母が減少したため、一般労働者、パートタイム労働者ともに、いずれの給与項目も減少しているにも関わらず、3月の1人当たりの現金給与総額が増加に転じるという“統計マジック”が起こったわけだ。

 新型コロナ禍により、雇用環境、特にパートタイム労働者には厳しい環境が続いている。こうした点をきちんと把握し、統計を行う場合には歪みが生じないように、修正なり、十分な説明を行う必要がある。

 新型コロナ禍を受け、給与は上昇してはいないのだ。

鷲尾香一(経済ジャーナリスト)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。外国為替、債券、短期金融、株式の各市場を担当後、財務省、経済産業省、国土交通省、金融庁、検察庁、日本銀行、東京証券取引所などを担当。マクロ経済政策から企業ニュース、政治問題から社会問題まで様々な分野で取材・執筆活動を行っている。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」「楽待不動産投資新聞」ほかで執筆中。著書に「企業買収―会社はこうして乗っ取られる 」(新潮OH!文庫)。

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最終更新:2021/05/15 09:56
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