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劇団EXILE 小澤雄太が三谷幸喜からもらった金言「時間はかかるけどいい役者だね」<インタビュー>

三谷幸喜と大泉洋にかけられた言葉

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――その後舞台『大地』に入ったときは、いかがでしたか?

小澤 やっぱり舞台でも、自分が作っていったプランとは違っていて、最初は苦労しました。プランが違っていると、組み立てなおさないといけないので。

――三谷さんは、そういうとき、どのように指摘をしてくれるんですか?

小澤 一回、思っていたことを外して、フラットにやってみたら? と言われました。僕が演じたドランスキーという役は官僚なんですけど、官僚っぽい芝居ではなく、部活が終わったばかりの高校生みたいに「おつかれーっす」みたいなかんじでいいよと。僕は台本を読んで思い描いた人物像を演じようとしたけれど、そうじゃなくて逆だったんですよね。

 確かに、昔から三谷さんの作品は見せてもらっていたけど、違和感のある人が出てくるんですよね。怖い人なのに怖くない感じで出てきたり、優しい人は優しくないように見えたり。一致してないから面白いんですよね。そういうことに気づいてからは、よくなったねと言われました。千秋楽で三谷さんに言われたことは、「時間はかかるけどいい役者だね」ということでした(笑)。時間しかかかんない役者ですけど、日々精進だから、引き出しにいろんなものを入れていかないとですね。

――三谷さんが、怖い人は怖くない人を演じてみるとか、そういう逆のアプローチの人が多いという話をされていましたが、『大地』に出てらっしゃる方も、そういう感覚を持って演じてらっしゃる感じなんでしょうか?

小澤 逆のアプローチをする人も、まんまの人もいるのが面白かったですね。例えば、大泉(洋)さんの役は、根回しのきく兄貴みたいなキャラクターで、それ故に標的にされやすい人なんですね。それを大泉さんは、まんまで演じてると思いました。それは、シチュエーションや時と場合で違いますね。

――確かに、『大地』の大泉さんがまんまだとしたら、同じ三谷さんの作品でも『清須会議』(13)の羽柴秀吉役なんかは、明るくひょうひょうとしてる中に怖さも感じましたね。

小澤 実は僕が『大地』のときにすごく悩んでいて、どうしようどうしようってなってたとき、大泉さんが「ちょっと小澤くん稽古しよう」って誘ってくれたんですよ。「小澤くんの思ってることもわかるし、思ってることそのままやってみるのも大事だと思うよ。でも思ってることを我慢してやってみるのも面白いんじゃない?」って言ってくれて。あんなに忙しいのに、そんな風に向き合ってくれてうれしいなって思うのと同時に、ちゃんとやんなきゃなという思いになりました。ほんとに凄い人だなって思いました。

――『大地』は、大泉さん以外にも本当にベテランの方とか経験豊かな方がたくさんいて、小澤さんは中盤に、大泉さんや浅野和之さんと、がっつり絡む見せ場もあるわけじゃないですか。それは、どういう経験になりましたか?

小澤 もう勉強しかなかったですね。みんなベースがきちんとできたらふざけてもいいので、そういう決まったものの中で、いろんな引き出しを見せてくるというところに魅了されましたね。その中で僕は、若いな、自分はまだまだだなって思いました。もっと淡々とできたはずって。声を荒らげたらいいってわけじゃないし、淡々と怖いことを言うほうが怖いんじゃないかって。もっと引き算ができたのになっていう悔しさはありますね。

『ピサロ』も終わってみたら、もっとここをこうすればよかったってことが出てくると思うんだけど、だからこそ、次の課題がみつけられるんだと思うし、それがもっといい芝居したいなっていう根源になるのかなって思うんです。少ない言葉で存在感を示す技術を身につけたいですね。『ピサロ』は、人間のダメなところをあからさまに露呈する物語なので、そこから見た人が考えられる作品になればいいなと思いますね。

「誰が星を取ってくるのか」劇団EXILEのあり方

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――小澤さんは劇団EXILEのメンバーでもあるわけですけど、その経験が生かされたと思うことはありますか?

小澤 なんでしょうね。いっぱいあるけど、分かりやすく言えないですね。うちの劇団は、みんな気を使いあってて、ケンカをバチバチにしながらもいいものにしていこうって感じでもなく、外でそれぞれが頑張って賞を取ったり認められたりして、それを持ち帰って劇団でも楽しいことをやろうぜっていう感じなんですよね。誰が星を取ってくるのか、のらりくらりやってるように見えて、いい意味でのライバル意識もあるんじゃないかと思います。

 僕ら、同じ動きをすることってないんですけど、全員がちがうことをやって、持ち帰ってきて、それがさらに劇団全員に還元していくという意味では、事務所では唯一無二のグループだと思うんですよ。

――劇団の皆さんで映画『jam』や、舞台『勇者のために鐘は鳴る』に出たりもしてきましたが、この人はいろんな経験をして「持ち帰って」いるなと感じることはありましたか?

小澤 作品によって持ち帰るものは違うけど、持ち帰ったものが多い人は落ち着いてくるから、青柳さんは、引き出しが多くなったなと思ったりしました。青柳さんは、いつも自問自答しながらやってる人なんだなと思いました。

――最後に、小澤さんがこの先やってみたいことって何ですか?

小澤 コロナ禍で自分と向き合ってみて、お芝居も好きだけど、料理も好きだなってのがより見えてきました。今までにも、いろいろ料理のプロデュースもやってきて、料理の面でも見せられることが増えてきたので、料理人の役をやったり、食べるということを楽しんでもらえる企画なんかもできればいいなと思いますね。料理人であるが故の苦悩とか、群像劇みたいなものもやっていきたいです。

(写真/KOBA)

小澤雄太(おざわ・ゆうた)
1985年10月8日、東京都生まれ。2009年、劇団EXILEのオーディションに合格し、俳優デビュー。以降、劇団公演をはじめ、方南ぐみ企画公演『伊賀の花嫁 その二 鬼は外編』、『八王子ゾンビーズ』、『PSYCHO-PASS サイコパス Virtue and Vice』、PARCO劇場オープニングシリーズ『大地』などの舞台に出演。2017年には特撮ドラマ『ウルトラマンジード』で伊賀栗レイト役を熱演。これが三谷幸喜の目にとまり、19年公開の映画『記憶にございません!』にキャスティングされた。

西森路代(ライター・コラムニスト)

ライター・コラムニスト。1972年生まれ。アジアのエンタテインメントと女子、人気について主に執筆。

Twitter:@mijiyooon

にしもりみちよ

最終更新:2021/05/29 12:00
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