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ARMYに沼落ちさせられた──信近エリが語る「BTSにどハマリした理由」と“UGC戦略”のすごさ

公式コンテンツの充実と飽きさせない工夫も人気の鍵

──SNS時代にフィットした売り方だと。

信近 あと公式のコンテンツの量も尋常じゃないんですよ。今回の「Butter」も1曲出したら、振り付け動画を出して、メインのMVとは映像が違うリミックス動画も出して、パフォーマンスビデオも出して。それに毎回どんな媒体に出ても、たとえば日本の音楽番組に出ても、ちゃんとオフィシャルでその映像がすぐ上がるじゃないですか。


日本テレビ系『MUSIC BLOOD』出演時(6月18日放送)のパフォーマンス映像

──いわゆる“供給”がすごいわけですね。

信近 そうなんです。それにどれだけ売れようが、めちゃくちゃ忙しいだろうに、ちゃんとV LIVE(韓国のライブ配信サービス)でも発信して、オンオフを両方見せてくれるんですよ。この規模になっても発売日には生配信して、デビュー日を毎年祝ってて。なかなかないじゃないですか。駆け出しの人ならわかるんですけど。

そういう“アジア人の真面目さ”が今の世界的なブームにつながってる気もしてるんです。このレベルで人気だったら、たとえばもうちょっとコンテンツが減ったりすると思うんですよ。でも、しっかり作り続けてる。そこに、アジア人っぽさが出てるって思うんですよね。ジャスティン・ビーバーとかだとあり得ないじゃないですか?(笑)

──確かにBTSはアワード系の出演も続きましたが、毎回ステージングとかも変えてて。新しく見せるよう工夫してるなと感心しました。

信近 「飽きさせないように」ってことを本当にとことん考えてるんだろうなと思います。ドキュメンタリーか何かで、ツアーの途中で髪の毛の色を変えたりとか、みんなに楽しんでもらえるようなことを常に考えてるって言ってたんですけど、本当にそれを体現してる気がしますね。

その上でコンテンツの充実をちゃんと妥協せず続けているのはすごいですよね。売り出し中のアイドルぐらいのことをいまだにやってるんですよ。それが素晴らしいし、アジア人の勤勉さかなあと思います。

──ちなみにこれまでアイドルにハマったりとかの経験は?

信近 それがないんです。人生で初めてファンクラブに入りました(笑)。なんか申し訳ない気持ちになってきちゃうぐらい、BTSから元気をもらってて。だから、課金させていただきたいと思って入りました。こんなファン的なのって生まれて初めてかもしれないです。

──信近さんは「Dynamite」をきっかけに沼落ちしたわけですが、周りのBTSファン友達とかはどういう感じなのでしょう?

信近 同世代の人たちはけっこう同じようなタイミングかも。「Dynamite」でちゃんと存在を知ったみたいな人たちがどハマりしてる感じもあるんでしょうね。

──日本のベストアルバムが大ヒットしているのも、「Dynamite」あたりから新規ファンがすごく増えてきたってことなのかもしれませんね。

信近 私みたいな、生まれて初めてこんなに誰かを応援してるみたいな人まで巻き込んでますからね。だからこそ世界でも一大ムーブメントになってるんだと思います。

──「Dynamite」に続いて「Butter」もすごいことになってますが、SNSでミュージックビデオについて書かれてましたね。

信近 “海外の人が思うK-POPアイドル感”を本人たちがコスってる感じがすごいおもしろいなと思って。売れてくると、『アイドルじゃないんだ』って言いたくなるタイミングがあったりするじゃないですか。あれだけのクオリティのことをやってるし。だけど自分たちで、“みんなきっとK-POPアイドルってこんなイメージだろうな”みたいなことをやってるのが、おもしろくて。あと、本人たちが続けてきたV LIVEっていうコンテンツに近い、たとえば体育館に撮影機材みたいな感じだったりとか、本人たちがいつもやってるような世界観を世界規模で発信してるのがおもしろかったんですよ。

いくらでもクールにやろうと思えばできるわけじゃないですか。でも、自分たちがなぜこんなに愛されてるかをわかってるっていうか。ARMYの人文字(*)もそう。クールにしたほうがよかったって思う人もいるかもしれないけど、“もう一枚上手なBTS”みたいな感じがおもしろかったですね。


*2:08~2:11ではメンバーで「ARMY」の人文字を作るシーンがある

──BTSの最大の魅力はそういう部分にあるのかもしれないですね。

信近 やっぱり、歌ってるところも大好きだけど、踊ってるところも大好きだけど、人となりが大好きみたいな人もいっぱいいると思うんですよ。メンバー同士でふざけてるとことかを見て癒されてる人、めちゃくちゃいっぱいいると思います。もちろん裏側までコンテンツがあるからって彼らを全部知ってるわけじゃないけど、でも人となりはある程度、その裏側の映像見てると伝わってくるじゃないですか。本当にみんな性格が素晴らしいんですよ。なかなかこんな、7人いて7人が人格者ってのは……すごいですよね。

BTSには楽しませてもらってるから、本当にありがたい。”ファンクラブに入らせていただいた”って表現しちゃうほど、ありがたいと思ってます。こんな有名な人たちがこんなに身を粉にして働いてるんだから、私も働かなきゃ!って毎日そう元気づけてもらってます。


信近エリ
株式会社Neith(ネイト)代表取締役CEO。
2004年よりシンガーソングライターとして活動し、Sony Music, avex等から自身の作品をリリース。2017年からは飲食店のブランドディレクターを務め、SNSの仕掛けのみで”3時間待ちの行列ができる店舗”へ成長させ、国内外にFC展開を果たす。女性が女性特有の悩みによってパフォーマンスを左右されることなく、心身ともに健やかに過ごすサポートをしたいという想いから2020年12月に株式会社Neithを創業。フェムテックブランド「Rinē(リネ)」を展開中。

末﨑裕之(ライター/編集者)

ライター・編集者。音楽を中心に、俳優・ドラマ~映画の取材まで。共著に『新R&B教本 2010sベスト・アルバム・ランキング』(スペースシャワーブックス)。まれにラジオ出演(NHKラジオ第1、FM802他)、作詞(アイドリング!!!他)も。
Twitter:@hsuezaki

すえざきひろゆき

最終更新:2023/03/14 14:08
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