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松本人志はなぜ笑い続けるのか? 元芸人が解説する「女子メンタル」「イケメンタル」に散りばめられたお笑い技術とは?

芸人以外が参加するお笑いの新しい現場の見せ方

 昔からお笑いは男性より女性の方が笑いを取りづらいと言われている。理由は女性が男性と同じように変な顔をしたり下品な事をすると、悲壮感が出てしまうからだ。

 しかし森三中やゆりやんレトリィバァなど男性より過激なことをしても笑える女性芸人が現れ、その定説が崩れつつある気がする。

 だがそれは芸人に限った事で、芸人以外の女性タレントとなると果たして笑えるのか?というのが率直な感想だった。

 だが、さすが芸能界を渡り歩いてきた猛者たち。個人差はあるもののそれぞれ芸人に負けず劣らずの戦略と度胸で笑いを取りにいっていた。

 特に戦略に長けていたのは優勝した峰岸みなみさんや、ファーストサマーウィカさん。このお2人は元々笑いのセンスがあり、狙いどころが芸人の笑わせ方に近いと感じた。

 素材の面白さが爆発していたのは浜口京子さん。あのまっすぐでつぶらな瞳が効果を発揮し、本人が狙っている以上の笑いを生み出していた。

 番外編には本来のドキュメンタルとは違い、松本さんの他に数名の芸人が観客として戦いをモニタリングするようになった。その目的は、松本さんを筆頭に芸人がどういうボケなのか、笑いどころはどこなのかを察知し、ボケの前にフリをいれたり、何が面白いのかをさりげなくわかりやすく説明したりつっこむことにより視聴者にとって笑いやすい環境を作るのだ。

 シーズン1でそれが顕著に表れていたのが、ファーストサマーウィカさんが「オススメの本紹介してもいいですか?」と言い、めちゃくちゃ付箋が貼ってある松本さんが書いた本『遺書』『松本』(ともに朝日新聞社)を出し、最後にまったく付箋の貼ってない相方浜田さんの『読め!』(光文社)というエッセイを出した。これは松本さんの本は勉強になるが、浜田さんの本は全く為にならないというボケなのだが、浜田さんの本を見た瞬間、芸人たちが「付箋張ってない!」とツッコミを入れ、現場の女性たちが意味が分かっていないというのを察知し、すかさずFUJIWARAの藤本さんが「これおもろいけど伝わるかなぁ?」とフォローを入れ、最後に松本さんが「高度すぎたな」とさらにフォローした。

 これによりこのボケは昇華され、場のテンションは上がったままになる。

 これともうひとつ同じようなシーンがあった。それは峯岸みなみさんが剛力彩芽さんの真似をしたシーンだ。剛力さんの「友達より大事な人」という曲を流し、CMをしていたランチパックを女性たちに配り、曲のサビに差し掛かったところで全力で踊るというもの。ボケとしては秀逸だが、見ようによってはただ踊っているだけに見え、何が面白いのかわからないという人もいるだろう。だが全力で踊っている峰岸さんに対して松本さんが「そんな全力で踊られても!」というツッコミを入れ、笑いどころを分からせてくれたのだ。

 参加者の女性たちと芸人によってドキュメンタルにも負けないクオリティに近づいていたと感じた。僕としてはシーズン1の方をお勧めする。比較的シーズン2は体を張った笑いが多い気がして、笑いのジャンルが少なく感じてしまったので。

 そして女子メンタルシーズン2と同じ放送で行われた、俳優などのイケメンたちを集めて戦わせた”イケメンタル”だった。

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