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菅首相の素顔に迫る映画『パンケーキを毒見する』がゾッとしながら笑える理由

東京五輪が開催中の今だからこそ

菅首相の素顔に迫る映画『パンケーキを毒見する』がゾッとしながら笑える理由の画像4
©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会

 劇中では、近現代史研究者の辻田真佐憲氏は戦時中の「大本営発表」のデタラメぶりや「竹槍事件」の言論弾圧が今でも通じる問題であり、「ジャーナリズムの批判機能が損なわれた結果、起きた出来事はこんなにもデタラメになる」こと、そして「批判というのは社会の機能の維持のため、市民社会を建設的な状態にするために必要なこと」という言説も述べている。

 さらに終盤では、若者の投票率向上を目指している学生団体「ivote」のメンバーが登場し、なぜ今の若者は政治に関心がないのか、投票率が上がらないのかと、議論し合うというシーンがある。それぞれの意見は率直であるがゆえに「本当に今の若者はそうなのかも……」と強く思えるものだった。

 そして、この映画『パンケーキを毒見する』が公開されている今、世論調査で国民の6割超が中止または再延期を求めていたはずの東京五輪は、結局は開催されている。血の滲むような努力をしてきた選手たちを応援するのはやぶさかではないが、デルタ株の感染者の急増、そして東京都の新規感染者数が過去最多を記録し、コロナと関係なく猛暑やトライアスロンの問題もあるし……などと、いろいろな要素がないまぜになっており、簡単に割り切って考えられない、という方はきっと多いだろう。

 そのように今は様々な情報が錯綜しているがゆえに、「正しい情報を得て」「正しく批判する」ことが難しく、「周りもそうだから」と流されてしまいがちな時代であると、筆者は思う。だからこそ、この映画『パンケーキを毒見する』を観てほしい。ゾッとしながら笑える作品としての特徴そのものが、この時代に必要な強い危機感を抱かせてくれるのだから。

菅首相の素顔に迫る映画『パンケーキを毒見する』がゾッとしながら笑える理由の画像5
©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会

『パンケーキを毒見する』
企画・製作・エグゼクティブプロデューサー:河村光庸 
監督:内山雄人 
音楽:三浦良明 大山純(ストレイテナー) 
アニメーション:べんぴねこ 
ナレーター:古 寛治
2021年/日本映画/104分/カラー/ビスタ/ステレオ ©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会
制作:テレビマンユニオン 配給:スターサンズ 配給協力:KADOKAWA  pancake-movie.co
配給:スターサンズ
7/30(金)より新宿ピカデリーほか全国公開
©2021『パンケーキを毒見する』製作委員会

ヒナタカ(映画ライター)

「ねとらぼ」「cinemas PLUS」「女子SPA!」「All About」などで執筆中の雑食系映画ライター。オールタイムベスト映画は『アイの歌声を聴かせて』。

Twitter:@HinatakaJeF

ひなたか

最終更新:2021/09/10 16:20
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