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障害者のきょうだい「きょうだい児」は、なぜつらさを抱えるのか? 専門家に話を聞いた

きょうだい児にアクセスしてほしい情報

——私自身もきょうだい児なのですが、どこから情報を得たらいいのかよくわかっていません。どうやって情報にアクセスしたらよいでしょうか。

吉川:今なら、まずSNS上で「きょうだい会」につながるのが一番の近道だと思います。多くのきょうだい児は、きょうだい児のかかえる問題について、自分自身の一事例しか知りません。境遇の近い人と知り合いになりたいという希望を持っている人が多いと思いますが、家庭の環境はそれぞれ違います。きょうだい会につながると、福祉サービスの利用方法や親との関係性など、さまざまなケースの情報交換ができます。

 身近にきょうだい会があることは、とても大事なことだと思います。文章ベースではなかなか本音が言いにくい場合もあると思います。オンライン通話でもかまいませんので、できれば会話でのコミュニケーションをとってみてください。

——きょうだい会や福祉サービスの探し方はありますか。

吉川:「きょうだい支援を広める会」のHPでは、全国にあるきょうだい会のおよそ7割程度は紹介されているかと思います。

きょうだい会は「悩みを話し合う」「社会的活動をする」など、会によって特色が異なるので、自分に合ったきょうだい会を探してみるといいと思います。

 ちょっと余談ですが、私も役員を務めている「全国手をつなぐ育成会連合会」では、今は新型コロナの影響で活動できていませんが、親が子どもとの関係を点検して次の一歩を踏み出すことを支援するための家族支援ワークショップや、中軽度の知的障害のある人向けの、自分を知り仲間を作り将来を描くワークショップを実施していました。親も、障害のある人も、きょうだいも、それぞれがそれぞれの人生を生きて行くことを、支援することが大事だと思っています。ちなみに、全国手をつなぐ育成会連合会では、障害のある人や保護者向けの保険サービス(おたすけプラン)を用意し、何かあった時の不安に対処できるようにしています。

——現状、家庭への支援は十分とは言えないと思いますが、どういった改善が必要でしょうか。

吉川:以前は、「仕事で忙しい父親に家庭の役割を担わせるべきではない」と、つまり「家庭のことは女性がすべて背負うべき」といった考えが根強くありました。母親は夫を支え、子育てをする、社会の資源として見られていたんですよね。

 もう、こんなふうに、社会が家族を資源としてその力を消費する(機能不全を助長する)ことはやめるべきです。そのためには、子育てやケアを家族だけで背負いすぎないように、行政でも民間でもこの分野の専門職を増やして、多元的な社会システムにしていく必要があります。

 同時に、障害のある人の意思決定支援等のサービスをさらに充実させ、家族が関わりたい場合には支援ネットワークの一部として参加できるような仕組みにしていくことが求められます。現状では、まだまだ「保護者」としての家族像が残っていますが、法的には「障害のある人がその人らしい人生を生きて行く」ためのサービスは整えられてきていますので。

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