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稲田豊史の「さよならシネマ〜この映画のココだけ言いたい」

グレタ・トゥーンベリは折り合いがつけられない―世間からアンチを受けてもむき出しなワケ

グレタ・トゥーンベリは折り合いがつけられない―世間からアンチを受けてもむき出しなワケの画像1
© 2020 B-Reel Films AB, All rights reserved.

 グレタ・トゥーンベリ。弱冠18歳、スウェーデンの環境活動家。彼女の言動に苛立つ、あるいは彼女の名前が話題に出た途端、無言で冷笑する中年男性は少なくない。世界にも、筆者の周りにも。

 そんなグレタの活動を追いかけたドキュメンタリーである『グレタ ひとりぼっちの挑戦』にも、彼女に批判的な各国の指導者やテレビのキャスター(すべて中年以上の男性)が登場する。例えば、こんな感じだ。

「彼女は大げさで感情的すぎると辟易している人は多いようです」
「彼女はただの子供だ。環境危機の扇動家が望むことを言っています。自分勝手で礼儀を知らない偽善者です。大人になり口をつぐみなさい」
「生意気な子供をメディアに出すべきじゃない」

 グレタは2019年、ニューヨークで開催された気候行動サミットのスピーチで、長らく地球温暖化に見て見ぬ振りをし続けた“大人”たちに怒りを示した。「あなたたちを決して許さない(we will never forgive you)」「よくもそんなことを!(How dare you!)」。怒りに顔を歪めた写真や動画の印象もあいまって、彼女はアンチのさらなる反感を買った。

 言っておくと、グレタのアンチが本作を観てファンになることは、おそらくない。彼女の行動と情熱がどれほど多くの人や団体に影響を与えたかを伝える、おおむね通り一遍の人物ドキュメンタリーだからだ。ひねりのない、無難な作りである。

 だが、彼女がなぜ、そのような反感を買ってまで活動に没頭するのか、もっと“穏健に”やれないのか、頑なで意固地で融通がきかないのか。その理由は、本作を観るとよくわかる。自他共に認めるアスペルガー症候群であるグレタは、物事に「折り合い」をつけられないのだ。折り合い、すなわち「互いに譲り合っておだやかに解決すること。妥協」。

 本気で地球の温暖化を止めるには、先進国国民の生活レベルを何十年か前に戻すだけでは足りない。開発途上国の経済発展も犠牲にする必要がある。快適や発展との完全なるトレードオフ。ぶっちゃけ、簡単な話ではない。

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© 2020 B-Reel Films AB, All rights reserved.

 だからこそ、グレタの言う“大人”たちは、今までなんとか「折り合い」をつけようとしてきた。「ここはバランス取ってゆるゆる行きましょうや」という方針で、今までやってきた。快適や発展を大きく阻害しない程度の目標を設定し、騙し騙しお茶を濁してきた。

 しかし、グレタはそれに我慢できない。アスペルガー症候群の特性として、中庸の考えを持つことができないからだ。白か黒か、正か誤か。ファジーという概念がない。「折り合い」をつけられない。

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