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木村拓哉、鬼滅声優が被害者? 『きゅんとする家電』ほかパクリCM濫造の裏事情

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木村拓哉

 昨今、YouTubeやInstagramなどのWeb媒体での配信を目的とした動画CMが隆盛を極めている。

 以前より下落しているとはいえ、なおも億単位の予算が必要とされるテレビでの媒体費を削減することができ、なおかつターゲット層により深くアプローチできる手法からテレビでは見ることができないキワドいCMも多数作られているのだ。

 そのひとつが中国系家電メーカー「ハイセンス」が10月からYouTube上で放送を始めた動画『きゅんとする家電』。同棲を始めたカップルのミニドラマ風CMである。ハイセンスの商品である洗濯機や掃除機が小道具として登場し、家事を通して関係を深めていくふたりを描いている。2.5次元俳優の猪野広樹とファッションモデルの愛花の演技はおじさん世代にはむず痒くなるほどの”きゅんとする”描写のオンパレードである。

 さて、本稿ではその『きゅんとする家電』がとあるCMのパクリだと指摘されていることに言及したい。

“パクられ元”は同じく家電メーカー「ハイアール」の『恋する家電』。ハイアールの商品である冷蔵庫、洗濯機などがが登場し、家電とそこで生活する者たちの関係性を描いている。

 前述の『きゅんとする家電』と違う演出としては、家電にキャラクターが付与されており、声優が生活者にツッコミを入れるという構図になっているというところ。構造としては若干の相違があるものの、同じ白物家電と生活者の関係性を描いていること、そしてあまりにも似たネーミングは少々マズいのではだろうか。

「ハイアールとハイセンスは同じ中華系の家電メーカーというところで、CMも確実に参考しているはず。プレスリリースにも制作会社や代理店の名前は明記されておらず、彼らもパクっていることを自覚しながらも、責任の所在を曖昧にしたまま確信犯的に制作したといえるでしょう。ハイアールの『恋する家電』には『鬼滅の刃』の主役で一躍時の人となった花江夏樹も声優として登場しており、パクられた側として彼も被害者のひとりといっても過言ではありません」(広告プランナー)

 とはいえ、昨今のCMにおいて”パクリ”と言われる事象は後をたたない。

 たびたび問題となるのが、日産自動車のCM。以前、日産『NOTE』のCMがオリンピック関連の音楽を手掛けた「H ZETTRIO」の楽曲を盗用しているとネット上で声があがったが、現在話題となっているのは、木村拓哉が出演中の『ARIYA』のCM音楽が、ビリー・アイリッシュの『BAD GUY』に酷似しているという件である。

「CMを制作するときは、納品ギリギリまで”仮”のBGMとして既存の楽曲を使うことが多い。最終的には音楽制作会社からあがってきたBGMに差し替えるのですが、クライアント含め仮のBGMで試写などをおこなっているため、イメージから遠いものは音楽制作会社としては作りづらい。結局、類似点は代理店の法務部が確認することになりますが、個々人の裁量に任せられてしまうので、音楽が似ているか似ていないかは判断がつけられないケースが多々あります。とはいえ、出演者には何の非もないわけで、彼らも被害者と言えますね」(前出・広告プランナー)

 ひとくくりにパクリCMと言っても、その裏には制作者のさまざまな事情があるようだ。

加藤マサキヨ(CMディレクター)

1988年生まれ。広告、IT業界に精通。週末はアイドル鑑賞で目を労り、サウナで汗を流す。

かとうまさきよ

最終更新:2021/10/28 13:00
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