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あのアーティストの知られざる魅力を探る TOMCの<ALT View>ビーイング編

シティポップとしてのB’z――B’zと山下達郎をつなぐ“グルーヴ”とは

シティポップとしてのB'z――B'zと山下達郎をつなぐ“グルーヴ”とはの画像1
B’z(写真/GettyImagesより)

 2021年現在、多くの人がイメージするB’zの音楽性は“ロック”あるいは“ハードロック”的なものだろう。加えて、最初期にはTM NETWORKの系譜に連なるダンサブルなポップスを披露していたことも、少しでもB’z史を掘り下げたことがある方ならご存知のはずだ。

 そうした彼らのキャリアの中で見過ごされがちな印象があるのが、’90年代後半までしばしば見られた、R&Bやソウル/ファンク/AORなどを踏襲した音楽性である。特にB’zのデビューから最初の10年間の音楽的変遷を見守り続けたファンにとっては、忘れがたい名曲がいくつも浮かぶのではないだろうか。昨今のシティポップやヨットロック(Yacht Rock:日本国外におけるAOR的音楽の総称)の世界的流行を鑑みても、もっと光が当たってしかるべき側面だと感じる。

 折しも、そうした音楽性を色濃く反映したミニアルバム『FRIENDS』シリーズの25年ぶりの新作『FRIENDS III』が12月にリリース予定であることが先日告知された。これを機に、彼らの都会的なソングライティングやサウンドデザインの素晴らしさが、コアなファン以外にも知られていくことを願ってやまない。

 ビーイングを出自に持つ音楽家たちを“グルーヴ”やアレンジの観点から語る本短期連載。最初の2回では、上記のような、B’zの知られざる魅力を前編・後編に渡りお送りする。この前編では、ひとりの“伝説のドラマー”を切り口に、シティポップなど、まずロック以外の視点での楽しみ方を紹介したい。そして、来週お届けする後編では、『FRIENDS』シリーズ2作と、その間の時期にリリースされた重要作『The 7th Blues』(’94)を軸に、具体的な楽曲をさらに挙げながら彼らのソウル/ファンク/AOR的な魅力を解き明かしていこうと思う。

B’zと山下達郎の交差点

 2010年代に海外から火が点いたシティポップ・ムーヴメントの中でも、最大級の評価を得ているのが山下達郎だ。

 2013年にアメリカ・ブルックリンを拠点に活動するセイント・ペプシ(現・スカイラー・スペンス)が自身の楽曲に「LOVE TALKIN’(Honey It’s You)」をサンプリングしたことを契機のひとつとして、特に『FOR YOU』(’82)の世界的人気~中古レコード市場での価格高騰ぶりは今なお目覚ましいものがある。イントロ一音で心を掴まれる冒頭の「SPARKLE」から締めくくりの雄大な全英詞バラード「YOUR EYES」まで全編隙なしの本作は、シティポップの枠を越え、日本ポピュラー音楽史上屈指のマスターピースとの呼び声も日に日に高まっている。

 この『FOR YOU』に先駆け、彼は今なお幅広い世代に愛されるシングル「RIDE ON TIME」および同名のアルバム(’80)をヒットさせているが、この2枚のアルバムのほとんどの楽曲で、ドラム・ベースは共通のメンバー(それぞれ青山純・伊藤広規)が起用されている。後に国内随一のスタジオ・ミュージシャンとして知られていく彼らの若き日のアグレッシヴかつテクニカルな演奏が、この時期のソウルやファンク~フュージョンを絶妙に掛け合わせた山下達郎作品のクオリティを一層引き上げていることは、熱心な音楽マニアの方にはお馴染みのことかと思う。

 しかし、その青山純がB’zの数十曲もの楽曲でドラムを務めていた事実はあまり知られていないはずだ。ミリオンヒットの「裸足の女神」(’93)や「ミエナイチカラ ~INVISIBLE ONE~」(’96)で聴ける演奏も彼のものである。

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