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深読みCINEMAコラム【パンドラ映画館】Vol.663

ネット時代の“仁義なき戦い”を描いた野心作! 名簿ビジネスをめぐる和製ノワール『JOINT』

文=長野辰次(ながの・たつじ)

ネット時代の“仁義なき戦い”を描いた野心作! 名簿ビジネスをめぐる和製ノワール『JOINT』の画像1
今年の新藤兼人賞銀賞を受賞した小島央大監督のデビュー作『JOINT』

 映画は時代を映す鏡だと言われているが、なかでも犯罪映画は現代社会をひときわ鮮明に映し出すジャンルとなっている。暴排条例が全国的に施行された2011年以降、目立った活動ができなくなった暴力団に代わり、“半グレ”が跋扈するようになった。ヤクザでもなく、カタギでもない、どちらにも属さない“半グレ”男の生き様をクローズアップしたのが、小島央大(こじま・おうだい)監督のデビュー作『JOINT』だ。拳銃やドラッグではなく、個人情報を武器に格差社会でのし上がっていく新感覚のジャパニーズ・ノアール(和製犯罪映画)として注目したい。

 主人公となるのは、刑務所を出所したばかりの石神武司(山本一賢)。出所後は産廃業で汗を流し、マジメに稼いだお金で東京へと戻る。そんな石神が始めたのは「名簿ビジネス」だった。かつて電話詐欺に関わっていたので、詐欺グループがどんな名簿を欲しがっているのかを石神はよく分かっていた。

 以前から付き合いのあった広告代理店の社員から顧客データを譲り受け、さらに韓国料理店を営む友人・ジュンギ(キム・ジンチョル)からもらった中古スマホの個人情報と合わせることで、精度の高い名簿を作成する。個人情報ひとり当たりの値段は5円~15円程度だが、情報量が多ければかなりの額になる。また、資産家、高齢者、受験を控える子どもがいる家庭の名簿などは高額で取り引きされる。電話詐欺をシノギにしている暴力団構成員の広野に名簿を売ることで、石神の闇ビジネスは軌道に乗っていく。

 頭のいい石神は、暴力団の構成員にならないかと誘われるが、その度に丁重に断るようにしていた。暴対法、暴排条例で縛られた今の暴力団に入っても、身動きができないことを石神は理解していたからだ。日の当たる表の世界に行きたい。ずっと裏社会で生きてきた石神は、名簿ビジネスでは飽き足らず、IT業界にカチコミをかけることになる。

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