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韓国映画は多様性をどう描くか『ユンヒへ』『オマージュ』『スティール・レイン』

韓国映画は多様性をどう描くか『ユンヒへ』『オマージュ』『スティール・レイン』の画像1
『ユンヒへ』©2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

 今、世界中で空前の韓国ブームが起こっている。今、世界中で空前の韓国ブームが起こっている。

 NetflixやAmazon、Disney+などの動画配信サービスで、数多くの韓国映画やドラマが配信されており、『愛の不時着』(2019)や『イカゲーム』(2021)など、世界的なヒット作も多数生まれた。

『新感染 ファイナル・エクスプレス』(2016)、『エクストリーム・ジョブ』(2019)、『白頭山大噴火』(2019)のように、米国で公開された韓国映画もいくつかあるが、現在の主流はやはりネット配信。米国での韓国ブームは、K-POPアイドル人気はもとより、こうした配信作品によるものでもあるだろう。『パラサイト 半地下の家族』(2019)がアカデミーの作品賞を受賞した背景にも、そういった地盤が固められていたことが要因としてありそうだ。

 作品のネット配信がもたらした急激なグローバル化、多様性の尊重によって変わりゆく近年の韓国映画のトレンドを、性的マイノリティ(同性愛)、ジェンダーの問題、レイシズム(人種差別)の3点から紹介していこう。

同性愛に対する社会の変化を、3世代を通して描ラブストーリー『ユンヒへ』

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©2019 FILM RUN and LITTLE BIG PICTURES. ALL RIGHTS RESERVED.

【ストーリー】
韓国の地方都市で暮らすシングルマザー・ユンヒの元に、長い間、連絡を絶っていた初恋の女性から一通の手紙が届く。母の手紙を盗み見てしまった高校生の娘・セボムは、自分の知らない母の姿をそこに見つけ、手紙の差出人である日本人女性・ジュンに母を会わせようと決心をする。セボムに強引に誘われるかたちで、ジュンが暮らす北海道・小樽へ旅立つユンヒ。それは、20年前の自分と向き合う、心の旅でもあった。

 韓国社会はキリスト教・プロテスタントの保守派も多く、性的マイノリティに対しての差別や偏見は根強い。映画やドラマにおいて同性愛者やトランスジェンダーの登場人物を描くことさえ、タブーとされてきた過去がある。

 2000年代も後半に差しかかって、『王の男』(2005)や『後悔なんてしない』(2006)といった同性愛を扱った映画も公開されたが、それでも韓国社会の同性愛への偏見は強かった。

 一方、世界に目を向ければ、多様なセクシュアリティのあり方を認め合おうという意識が高まっており、近年は映画の描写にも変化が生まれている。同性愛を“特別”なものとして描き、そこにハードルを置くのではなく、ひとつの自然な愛の形として扱い、特別視しない作品が増えているのだ。

 そうした世界的な潮流は、韓国映画にも影響を与え、近年では『メソッド』(2017)、『詩人の恋』(2017)など、同性同士のラブストーリーを自然に描いた作品も増えてきている。

『ユンヒへ』も、同性愛をことさら主張するものではないが、主人公の母・ユンヒとその相手・ジュンが社会から受けてきた抑圧を丁寧に描いた作品だ。

 かつて時代や社会によって引き裂かれた恋人同士の再会を、現代に生きる娘・セボムと、そのひとつ上の世代であるジュンの叔母・マサコが手助けをする。過去の保守的な概念への後悔を抱える世代、その概念から抜け出せなかった世代、そして新たな世代、3世代の想いが交差することで、今後への希望を余韻として残す。

 同作は、セリフが極端に少ない映画である。映画的でセンセーショナルな演出を徹底的に削ぎ落し、ユンヒとジュンが静かに再会する様子を描くことで、止まっていた2人の時間が再び動き出す。これはユンヒとジュンのように、かつて声を上げられなかった人々の想いの代弁でもあるのだ。

『ユンヒへ』
監督・脚本:イム・デヒョン
出演:キム・ヒエ、中村優子、キム・ソへ、ソン・ユビン、木野花、瀧内公美、薬丸翔、ユ・ジェミョン(特別出演)

 

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