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日刊サイゾー トップ > エンタメ  > バンドブームと『イカ天』の裏側

『X年後の関係者たち』バンドブームは“最もコスパの悪いエンタメ”? イカ天の裏側

バンドブームは「わずか2~3年の熱狂」

 今回の座組は司会がカズレーザー(メイプル超合金)で、ゲストは前述のオーケンと石川浩司(元たま)、イカ天の初代審査員長だった音楽評論家の萩原健太、そして少年時代にバンドブームに影響を受けた綾小路翔(氣志團)の4人だ。綾小路はイカ天でのたまとの出会いを以下のように語る。

「もしかして、僕らの前の世代の人たちが言ってたビートルズとかセックス・ピストルズに出会ったときの衝撃ってこれなのかなって思いました」(綾小路)

 当時、ルポライターの竹中労が「たまは現代のビートルズ」と評したことは有名だが、番組に登場した面々が思いっきりナゴム寄りなのは少し気になった。オーケンと石川は元ナゴム、綾小路はナゴムのゲンドウミサイルに影響を受けており、氣志團はナゴムレコード設立30周年記念ライブにも出演した。大雑把にバンドブームを分析すると体育会系と文化系のバンドに分かれるが、ナゴムは言うまでもなく文化系。実のところ、当時はジュン・スカイ・ウォーカーズに代表される縦ノリ系のバンドがブームの大多数を占めていた印象だ。

 番組はバンドブームを「わずか2~3年の熱狂」と定義したが、その通りである。バンドブームより前はパンクブームとホコ天が若者を賑わせ、イカ天放送時期の89~90年こそがバンドブーム絶頂期。91年辺りには、バブル景気と共にブームも沈静化していた。その後、ZARD、WANDS、ZYYGらのビーイング勢がシステマチックな戦略で、それまでとは別種のCDバブルを巻き起こしている。イメージとしてはバンドブームはライブハウス出身勢からの熱で、ビーイングはあくまでレコード会社主導の現象だった。

 ちなみに『平成名物TV』は放送されない地域もあり、特に大阪在住の人たちからするとイカ天は未知のものだったらしい。また、当時中学生だった筆者にとってもイカ天はそこまで必見のプログラムではなく、それより『夢で逢えたら』(フジテレビ系)のコーナー「バッハスタジオ」に出演するバンド(ユニコーン、THE BOOM、アンジー、THE FUSE等)と対面することでバンドブームの一端を垣間見ていた記憶である。

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