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スタンダップコメディを通して見えてくるアメリカの社会 #21

デイヴ・シャペル、史上最高コメディアンのネトフリ新作が差別的ネタでボイコットに!?

文=Saku Yanagawa(サク・ヤナガワ)

デイヴ・シャペル、史上最高コメディアンのネトフリ新作が差別的ネタでボイコットに!?『最後のネタ』が表すものとはの画像1
デイヴ・シャペル『これでお開き(原題は”The Closer”)』Netflix 公式サイトより

 今、アメリカで一本のスタンダップコメディ作品をめぐり大きな議論が巻き起こっている。その中心にいるのが「GOAT(=史上最高)」との呼び声も高いスタンダップコメディアン、デイヴ・シャペル。ネットフリックスがリリースした彼の最新ライブ公演作品『これでお開き(原題は”The Closer”)』が、トランスジェンダーに対し差別的だと批判に晒されているのだ。

 ネットフリックスには連日抗議のメールが届き、作品の削除を求める声が寄せられている。社内のトランスジェンダー社員グループからもボイコットの要求があったという。この騒動のなかで、先週CEOのテッド・サンドラスが声明で、「我々はこの作品が一線を越えているとは考えておらず、削除の予定はない」と発表する事態にまで発展した。

 その半面で擁護派も多く存在し、まさにエンタメの枠を飛び出し、人権やポリティカルな文脈でアメリカを二分する議論が展開されている。

 そもそもデイヴ・シャペルはこれまでスタンダップコメディアンとして、常に「戦う」姿勢を見せてきた。とりわけライフワークとして行ってきたのが人種差別との戦いで、黒人としての立場から、鋭いジョークで不平等や矛盾に立ち向かってきた。

 2020年、ミネアポリスでジョージ・フロイド氏が警官に殺害された際には、コロナ禍であるにも関わらず、自宅のあるオハイオ州で電撃ライブを行い、その模様をYouTubeにて配信し大きな話題を呼んだ。

 06年には自身の冠番組『シャペル・ショー』を「自分の作品が白人にただ消費され、笑い者にされているだけだ」という理由で突如降板し、以後10年以上表舞台から姿を消した。そしてその沈黙を破り、ネットフリックスと超大型契約で復活を果たしたのが17年。それ以後は約一年に一本のペースでスペシャル番組を配信、ブランクなど微塵も感じさせない、そしてより一層円熟味の増したスタンダップで世界中の人々を笑いの渦に巻き込み、同時に唸らせてきた。

 そして今回、タイトルからも察しがつくように、一連のネットフリックス・シリーズの「最終回」という位置付けでリリースされたのが本作というわけだ。 今年8月に満員のデトロイトの劇場で収録された本作冒頭で、デイヴは「これまで、批判や炎上の的になってきた俺の数々のジョークに、俺なりにケリをつけにきた」と独白。

 彼がこれまでのシリーズでトランスジェンダーに対する際どいジョークで炎上を繰り返してきたことを知る劇場のファンたちの間に、一瞬の緊張が走ったのが画面越しにも伝わりくる――。

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