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スタンダップコメディを通して見えてくるアメリカの社会【20】

911から20年…アメリカ市民の英雄だったジュリアーニ市長の目も当てられない現在に「大バカ者」と嘆きの声

文=Saku Yanagawa(サク・ヤナガワ)

911から20年…アメリカ市民の英雄だったジュリアーニ市長の目も当てられない現在に「大バカ者」と嘆きの声の画像1

 2001年9月11日、テロ組織アルカイダによってハイジャックされた2機がマンハッタンの世界貿易センタービルに突っ込み、その後崩落。さらにはペンタゴンに突入した旅客機などを含め、合計4機の民間機が墜落し、3000人余りの犠牲者を生む同時多発テロが起こった。

 この史上最悪の事件から20年が過ぎた2021年9月11日、アメリカでは街中に「Never Forget(私たちは決して忘れない)」という横断幕が掲げられ、改めて悲劇を胸に刻み込む一日となった。そして同時に、多くの人々にとってアメリカが歩んだこの20年間を省みる一日となったに違いない。

 折しもバイデン政権は、トランプ前政権時に交わされたタリバンとの合意に基づき、アメリカ軍のアフガニスタンからの完全撤退を敢行した。これは、アメリカ史上最も長かった20年間の戦争への終止符を意味したが、撤退によって生じたアフガニスタン国内の混乱や、衝突が連日国内メディアでも報道され、バイデン政権の支持率も下降した。

 そしてこの日、貿易センタービルの跡地「グランドゼロ」で行われた追悼式典には、バイデン大統領をはじめ、バラク・オバマ元大統領やビル・クリントン元大統領も参列し、黙祷を捧げ、哀悼の意を示した。また旅客機の墜落したペンシルベニア州シャンクスビルでは、9・11当時大統領だったジョージ・ブッシュ氏が演説を行い、アメリカ国民に今一度団結を呼びかけた。

 どんな話題でもジョークで笑いに昇華する夜のコメディ番組でさえも、この日は粛々と進んでいった。

 攻めた切り口で多くのニュースに言及するトレヴァー・ノアのコメディ番組『デイリー・ショー』も、歴代の大統領が式典に詰めかける中、前大統領のトランプがフロリダ州で行われたボクシングの試合でコメンテーターを務めていたことを揶揄するにとどめた。

 同じく政治に対して鋭いジョークで切り込む夜の帯番組の司会者、スティーブン・コルベアはルディ・ジュリアーニをネタにした。

 ルディ・ジュリアーニといえば、同時多発テロの際のニューヨーク市長。失意のニューヨーカーたちを励まし続ける姿は多くの人の心を打ち、まさに「ヒーロー」となった。その姿から「世界の市長」とまで呼ばれ、エリザベス女王からナイトの称号まで手にしたが……。

 あれから20年、ジュリアーニの状況は大きく変わってしまった。

 08年、予備選での落選後は自身の離婚問題なども相まって資金難に陥り、トランプの個人弁護士となったが、先の選挙の不正を訴え続けたことで、虚偽の情報を吹聴し「公益の脅威」であるとされ、ついには弁護士資格まで剥奪されてしまった。

 そんなジュリアーニは9月11日当日、追悼イベントのスピーチにこともあろうか酩酊状態で登場。あくまでも本人は「スコッチを飲んだだけで、酔ってはいない」と主張するが、しどろもどろなのは明らかだった。彼は壇上で耳を覆いたくなるような誇張されたイギリスのアクセントでもってエリザベス女王の真似をしてみせた。

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