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『家、ついて行ってイイですか?』“美人”プロボクサーを苛んだ二重のプレッシャー

小4で母に見捨てられた姉妹「双子だから乗り越えられた」

 2019年7月、由比ガ浜でスタッフが声をかけたのは女性4人組。しかも、その内の2人は同じ顔だった。ウェブデザイナーのゆかさんと、SEのりかさんは27歳の一卵性双生児である。パリピかと思いきや、ちゃんとした仕事をしているようだ。

――結構、エリートな4人組?
ゆか 「エリートではないんですけど、真面目なだけですね」

 陽キャで真面目は最強。ただ、ちょくちょく不穏なワードが出てくるのが気になった。

――出身は?
ゆか 「北海道です。家族の事情がいろいろあって、自立するために出てきました」
――お2人で住んでる?
ゆか 「はい。大好きな家族なんで、唯一の」

「唯一の」「いろいろあって」とは、どういうことなのか? というわけで、2人が同居する世田谷のマンションへと到着した。自宅の冷蔵庫を開けると、パックの残りや美容ドリンクがたくさん保存してあった。

りか 「勝負の前日に飲むと、すごい肌がツヤツヤになるんです!」
――勝負?
りか 「なんかあるときです。男性とデート行くときとかそういうときです」

 いちいち、意味深なことを口走る姉妹。だが、2人に彼氏はいないらしい。両者、彼氏いない歴は1年半だそうだ。そんな意味深トークの最中、ドキッとすることを姉が言い出した。

「水着着てもいいですかね? 見せたいなと思いまして。せっかく、テレビなので」(ゆかさん)

 曇りであまり着られなかった水着を、特別に公開してくれるようだ。というわけで、お色直しした姉妹がカメラ前に登場! スタイルがいいし、家の中で水着というシチュエーションがエッチである。しかも、ゆかさんの着たビキニがローライズ過ぎてお尻が見えてしまっている。なのに、「海ではみんな出してる」と動じない2人。一心同体という感じで心強そうだ。

 部屋の奥へ行き、壁に貼ってあるプリクラを見ると、北海道時代の2人がツーショットで写っていた。バリバリのギャルだったようだ。それをスタッフが指摘すると「闇は抱えてます」と、再び不穏なことを言う2人。本棚にあったのは『心を少し軽くするフィンランド人の100人のヒント』という本だった。

「これは病んでるときに見ます。幼少期のつらい思い出をフラッシュバックするときとか」(りかさん)

 ゆかさんの部屋へ行くと、机に小学生向けの算数の問題集が置いてあった。

「ちょっと数学が苦手なんで。足し算とか引き算とか四天王(+-×÷)はわかるんですけど」(ゆかさん)

 スタッフは彼女に九九の問題を出してみた。しかし、答えられない。「7×6?」の問いに「38」と、「7×8?」の問いに「68」と回答するゆかさん。7の段が苦手らしい。確かに、7の段にはボス感がある。

 算数は苦手だし、ギャル時代は荒れていた2人。何か闇を抱えているのか?

「お父さんは4歳のときに大腸がんで亡くなってます。そこからお母さんが心の病になってしまって、私たち2人は気付いたらとある山奥の児童養護施設に送られたんです。入ったのは小4で、それまでは母と3人でボロアパートで生活。片栗粉とか食べてましたね」

 父が大腸がんで亡くなり、母が心を病み、2人は山奥の施設に送られた。母親の育児放棄を理由に、施設で育っていたのだ。そこでは、料理も洗濯も自分たちでやる。かけ算ができなかったのも納得だ。勉強する時間さえなかったのだろう。

「18歳で(施設から)出てきました。(上京して)2人でやれるようになったので。家族とかそういう感覚がないから、2人の絆が強いんだと思います。ベッタリ、ベッタリで。1人だったらグレてましたね」

 グレる理由でよくあるのは、親からの愛情不足。でも、2人はお互いで愛情をカバーし合っていた。壮絶な生い立ちでも、理解し合える姉妹の存在で乗り越えられた。

「幼少期にいろいろありすぎて、ちょっとしたことは悲しくないんです。強くなりましたね」

 悲しくないはずがない。さっき、2人は「病んだら読む本がある」と口にしていた。悲しみが襲う瞬間は今もあるはずだ。

りか 「唯一の家族が1人いたっていうのは大きいです」
ゆか 「双子だったからいろいろ乗り越えてこれたんだと思います」
――お互い、どういう存在?
ゆか 「もう1人の自分です」
りか 「いなくてはいけない存在ですね」
――これからの2人の目標はありますか?
りか 「成り上がりたいですけどね(笑)。お金持ちになって、2人で何か仕事を一緒にできたらいいなと思います」

 このVTRから2年8カ月後、番組は姉妹に追加取材を行っている。30歳になった2人は、もう同居していないようだ。訪問したのはりかさんの家。間取りはかなり広くなっており、室内で犬を飼っている模様。ペット可の物件でこの広さとは、なかなかである。やはり、成り上がったのか?

 そして、2人は容姿も変わっていた。ゆかさんは髪を金に、りかさんは髪を赤に染めていたのだ。以前はお揃いの双子ファッションだったが、今はそれぞれに自我が目覚めている。

 職業も変わった。ゆかさんは会社を辞め、フリーのウェブデザイナーになっていた。りかさんも会社を辞め、個人でオンラインヨガの講師をしているらしい。いい部屋に住んでいるということは、顧客がちゃんといるのだろう。

「成金に着々と近付いてます!」(りかさん)

 最後にどのくらい成長したか、具体的に確認したい。ディレクターはゆかさんに九九の問題を出した。

「さすがにこの歳で九九を言えないのは恥だと思うんで、言えると思います」(ゆかさん)

――5×7?
ゆかさん 「49です!」
――7×4?
ゆかさん 「49!」
――7×8?
ゆかさん 「7×8=56です」

 7×8は克服していたゆかさん。やはり、着々と成り上がっているようだ。真面目な話、九九ができなくたって尊敬できる。この前向きさを見習いたい。

寺西ジャジューカ(芸能・テレビウォッチャー)

1978年生まれ。得意分野は、芸能、音楽、格闘技、(昔の)プロレス系。『証言UWF』(宝島社)に執筆。

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てらにしじゃじゅーか

最終更新:2022/03/30 21:20
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