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「培養肉」競争激化で東大と日清が一歩リード! 培養ステーキ商品化まで間近か

文=鷲尾香一(わしお・こういち)

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 「培養肉」の作製競争が激化している。東京大学と日清食品ホールディングスの研究グループは3月31日、産学連携の「培養肉」研究としては、日本で初めて「食べられる培養肉」の作製に成功したと発表した。
 https://www.i.u-tokyo.ac.jp/news/files/IST_pressrelease_20220331_takeuchi.pdf

「培養肉」は畜肉の細胞を体外で組織培養することによって得られた肉のことで、家畜を飼育するのと比べて地球環境に与える負荷が低いほか、畜産のように広い土地を必要とせず、さらには無菌状態での培養が可能なため、病原性大腸菌などの有害菌による汚染のリスクがないなど、さまざまな利点があることから、食肉の新たな選択肢の一つとして期待されている。

 今回の発表によると発表によると研究グループは、牛肉由来の筋細胞と食用ではない研究用素材で、2019年に世界で初めて牛肉由来の筋細胞を用いたサイコロステーキ状1センチ×0.8センチ×0.7センチ) の大型立体筋組織の作製に成功している。

 2021年8月24日には、大阪大学を中心に凸版印刷、弘前大学、日本ハム、キリンホールディングス、リコー・リコーフューチャーズ、リコージャパン、大阪工業大学の研究グループが赤身の間に脂身が程良く入った“サシ”の和牛培養肉に作製に世界で初めて成功した。

 これは、和牛肉を構成している筋、脂肪、血管という異なる線維組織をそれぞれ3Dプリントで作製し、これを“金太郎飴”を作るように重ねることで、牛肉の複雑な構造を再現可能な「3Dプリント金太郎飴技術」を開発、和牛培養肉を作製した。

 これまで、「食べられる培養肉」の作製には「食用可能な素材のみを使用すること」「研究過程において食べられる制度を整えること」の2つの大きな課題があった。

 今回、東大の研究グループは独自に開発した「食用血清」と「食用血漿ゲル」(いずれも特許出願中) を使用することで、食用可能な素材のみで「培養肉」を作製できるようになった。

「食用血清」は、細胞を育てるために必要な栄養成分である「培養液」の素材として使用。また、「食用血漿ゲル」は立体筋組織培養ステーキ肉) を作製するために必要な細胞の足場材料となる素材。

 既存の食用素材だけでは十分な栄養成分の供給や立体筋組織の構築が困難だったが、今回開発した「食用血清」と「食用血漿ゲル」を使用することで、細胞の生育に適した条件で培養することが可能になった。

 こうして「素材」と「制度」という2つの課題をクリアしたことで、3月29日に研究関係者による試食を行った。

 これにより、従来の機器を使った分析に加え、人による官能評価が可能になったことで、味、香り、食感などの“おいしさ”に関する研究開発が大きく進展し、肉本来の味や食感を持つ「培養ステーキ肉」の実用化に一歩近づいた。

 現在は、肉本来の味や食感を持つ「培養ステーキ肉」の実現に向け、25 年 3 月までに厚さ2センチ×幅7センチ×奥行7センチの大型立体筋組織の作製を目指す立体筋組織のさらなるサイズアップや、おいしさと低コストを両立する大量生産技術の確立を目指して研究を進めている。

 培養肉はいまだに商品化されているものはないが、さまざまな研究機関が培養肉の作製を研究し、実用化を目指している。やがて、味も食感も和牛と変わらない、あるいは和牛よりも美味しい培養肉が安価で販売され、食卓に並ぶ時代が来るのかもしれない。

 なお、この研究成果は「第21回日本再生医療学会総会」において発表された。

鷲尾香一(わしお・こういち)

鷲尾香一(わしお・こういち)

経済ジャーナリスト。元ロイター通信の編集委員。「Forsight」「現代ビジネス」「J-CAST」「週刊金曜日」ほかで執筆中。

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Twitter:@tohrusuzuki

最終更新:2022/04/14 06:00

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