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『家、ついて行ってイイですか?』「夢が叶わなかった」心優しき青年は、再び“ヒーロー”になった

文=寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

『家、ついて行ってイイですか?』「夢が叶わなかった」心優しき青年は、再びヒーローになったの画像1
『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)

 4月27日放送『家、ついて行ってイイですか?』(テレビ東京系)は、題して「自分を信じてありのままに生きる人たちSP」であった。

心優しきヒーローの告白「怖くて相手の顔を殴れなかった」

 東京都中央区で開催されたイベント「昭和レトロ市」でスタッフが声を掛けたのは、ホームセンター勤務だという27歳の男性。長身の爽やかなイケメンである。

 このイベントには本と服を探しにきたらしい。試しに売っていたジャケットを試着する男性。試着中の彼がまた、痩せ型で、脚が長く、スタイル抜群なのだ。身長は182センチとのことだが、好スタイルのため190センチくらいありそうに見える。

 スタッフが「家、ついて行ってイイですか?」と尋ねると、男性は快諾してくれた。というわけで、練馬区大泉にある彼の自宅へ到着。4LDKの一戸建て、どうやら実家住まいらしい。

 玄関を開けると、そこには特撮系ヒーローの頭の部分が無造作に置いてあった。パッと見、これは仮面ライダークウガの頭か?

「趣味で作ってる仮面ライダーの頭です。プラモデルのパテとかを塗って作ってます」

 彼の部屋に入ると、かなり散らかっている。なぜ、こんなに散らかっているかというと、クウガの頭を作ったときの残骸をそのままにしているから。

 頭だけじゃない。部屋は自作グッズで溢れていた。俗に言う、コスプレ造形。ひょっとして、彼はコスプレイヤーなのか? 特に、ブラッドスターク(「仮面ライダービルド」の怪人)の造形コスがスゴい。製作日数:半年、制作費用:5~6万円のそれは、自分1人では着られないほど大掛かりなものであった。また、背が高いから彼にコスが似合うのだ。これぞ、特撮マニアの行き着く先。山口貴由のマンガ『劇光仮面』を地で行くような人である。定職に就いているから、趣味に狂っても誰に何を言われる筋合いだってないし。

 しかも彼、高校時代はヒーローに憧れて体操部に所属していたという。筋金入りだ。体操の基礎技は、今も練習しているらしい。試しに公園で見せてもらうと、バク転もバク宙もこなす身のこなしだった。この長身でバク宙できるのがスゴい! 長い手足は、体操にデメリットなはずなのに。

 他にも、ブランコ上部のバーに捕まって懸垂するなど、毎朝のトレーニングを欠かしていないという彼。番組を見た特撮系のスタッフから、ひょっとしてスカウトが来るのでは!? ……と思っていたら、すでにヒーローショーのアクターを経験済みだそうだ。レイヤーではなく、ちゃんと元スーツアクターだった。でも、今はホームセンター勤務のはずだが?

「敵役から始めて、回数を重ねるごとにヒーロー役になっていきます。ヒーロー役になるとスタッフ、出演者のジャッジも厳しい。お客様もみんなこっちを見てますし、本番が近づくにつれてプレッシャーで片耳が聞こえなくなったりするんです(苦笑)。僕は相手の顔を打つ(殴る)のが怖くて、(拳が顔の)横に避けたりしていたので、そういうビビリなところも僕がダメだった原因ですね。ごまかしごまかしやってましたけど、これを続けるのはできないと思って……しまいました」

 悪役の顔面を打つことができない、心の優しすぎるヒーロー。加えて、客前に出るヒーローショーのプレッシャーは計り知れない。ヒーローだったけれど、彼はプレッシャーに負けてしまった。そして、大学卒業を機にホームセンターへ就職、彼はスーツアクターの職を退いた。

「辞めたっていうか……逃げた、ですね。挫折して1~2年、悔しいやら情けないやらでテレビを見てなかったんです。仮面ライダーも戦隊モノもウルトラマンも。そのときは、僕にとって『夢が叶わなかった』っていう負い目だけがひたすら残った2年間でした」

『仮面ライダー555』の登場人物・海堂直也には「夢ってのは呪いと同じなんだ。呪いを解くには、夢を叶えなきゃいけない。でも、途中で挫折した人間はずっと呪われたままなんだ」という語録がある。彼は、2年間も呪いにかかり続けていた。

「でも2年経って、あんなに好きだったものが嫌いになって終わるのが嫌だったので」

 ふと仕事帰りにおもちゃ屋に寄ると、今もウルトラマンや仮面ライダーは続いていた。すなわち、スーツアクター時代に共に切磋琢磨していた仲間たちが今も頑張っているということである。

「それを見ると『負けてらんないな』と、『教えてくれた人たちに申し訳ないな』と思って、もう1回やってみようと思えたんです」

 現在、彼は大泉のローカルヒーローの現場の手伝いをしているという。もちろん、ヒーローとしてショーにも出演中だ。好きなものだからこそ自信をなくしていたが、好きだからこそ頑張れるという現実もある。

「子どものときに、僕が『動き、スゴい!』『カッコいい』って感動したのは見せたいですし、伝えていきたいですし、大人にもそれは伝えていきたいです。大人も子どももアクションを通じて楽しませたいですね」

 戦隊モノの“中の人”は、皆こんなことを思っているのだろうか? 男性は顔だけじゃなく、内面もカッコよかった。

――ホームセンターの人は、ヒーローだというのは?
「誰も知らないんじゃないですか。内緒のほうがカッコいいかなって(笑)」

 しかし、今回の放送によっておそらく職場にはバレてしまっただろう。そして、世の中にもバレてしまった。きっと、ヒーローショーのギャラリーは増えるはずだ。カッコいいし、性格も良さそうだし、本当にヒーローみたいな人であった。

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