日刊サイゾー トップ > エンタメ > お笑い  > オール巨人を追い込んだM-1

オール巨人を追い込んだM-1グランプリ、進化しすぎた漫才の弊害

オール巨人を追い込んだM-1グランプリ、進化しすぎた漫才の弊害の画像1
新道竜巳・画

 今年開催予定の「M-1グランプリ2022」において、これまで長きに渡り決勝戦の審査員をつとめてきたオール巨人師匠が、引退を表明。その理由のひとつとして “漫才の進化”をあげていました。

「M-1」は新しい漫才師を発見できる場として今もかなり注目されていますがその半面、ぱっと見ただけでは簡単に理解が追いつかない、複雑な笑いが盛り込まれた漫才も多くなっています。“新しい”ということはそのネタに対して、今まで見たことがなくて耐性がない分、理解するのに時間がかかってしまう場合もあるということ。さらに“理解が出来ない”人というのは即、否定派に回るってしまうことも多く、結果的にその漫才が評価をされずに終わってしまう事も多いんですよね。

 またその漫才の形が「M-1」では新しいものであっても、それぞれがライブ―シーンで積み上げていったネタであれば、ライブに足を運ぶお客さんには共有できているでしょう。そうして予選を勝ち上がっていくわけです。だた、普段ライブに足を運んでいない審査員からは全く違った評価がくだされる事もあります。そのズレを直すためにも必要なのが会場にいるお客さんの笑い声の量なんですが時折、爆笑が起きても落とされるなんて事もあります。

 せっかく笑いがおきているのになぜ落とされてしまうのでしょうか?

 まずその年代によって、流行りの話題が違う、という理由があると思います。例えば以前は『ドラえもん』がネタとして多く使用されていましたが、鮮度の問題もあってか次第に『ドラゴンボール』が多用されるようになっていきました。南海キャンディーズさんが「M-1グランプリ2004」の決勝でやったネタの台詞「これはクリリンのぶん!」が、記憶に残っている方も多いでしょう。それぞれの年代によって、引用される話題に流行り廃りが出てくるわけです。

 それを示す事例として「M-1グランプリ2016」でハライチが披露したロールプレイングゲーム、というネタ。これは『ドラクエ』や『ファイナルファンタジー』など、どれか特定のゲームをさしているワケではなく、漠然とした印象でロールプレイングゲームという設定にしていました。おそらくできるだけ多くの人に伝わるようにしたのでしょう。でも審査のときには「ゲームは伝わりずらい」という声があがりました。そもそも審査員の人たちは、ロープレをやったことがない人もいたんでしょうね。

 また「M-1グランプリ2020」で錦鯉が披露した“漫才パチンコ”は「ロールプレイングゲーム」と比べるとかなり分かりやすいし、幅広い設定のように感じましたが、審査の方向としてはこれも「パチンコをやらない人もいる」という評価を受けていました。

 審査員は大御所が務めることが多いので、年齢層は高め。その一方で若手芸人は「プリキュア」「ポケモン」「遊戯王」など、新しいマンガやアニメ、ゲームカルチャーを取り入れたネタを、ブラッシュアップしていきます。ライブに足を運ぶ人は若い人が多くその層に感性を合わせて、これまでに使われていないけど世代的に共通認識がある作品名などを引用すれば、受ける可能性もあがります。普段ライブに足を運ぶお客さんと審査員との年齢差が開いていくわけで、感覚の違いにも差が生まれています。

12
ページ上部へ戻る

配給映画

トップページへ
日刊サイゾー|エンタメ・お笑い・ドラマ・社会の最新ニュース
  • facebook
  • twitter
  • feed
特集

【4月開始の春ドラマ】放送日、視聴率・裏事情・忖度なしレビュー!

月9、日曜劇場、木曜劇場…スタート日一覧、最新情報公開中!
写真
インタビュー

『マツコの知らない世界』出演裏話

1月23日放送の『マツコの知らない世界』(T...…
写真
人気連載

山崎製パンで特大スキャンダル

今週の注目記事・1「『売上1兆円超』『山崎製パ...…
写真
イチオシ記事

バナナマン・設楽が語った「売れ方」の話

 ウエストランド・井口浩之ととろサーモン・久保田かずのぶというお笑い界きっての毒舌芸人2人によるトーク番組『耳の穴かっぽじって聞け!』(テレビ朝日...…
写真