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『関ジャム』小田和正の魅力は“高音”より“声質”、建築を下地にした“作曲”

『関ジャム』小田和正の魅力は高音より声質、建築を下地にした作曲の画像1
『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)TVerより

 7月31日放送『関ジャム 完全燃SHOW』(テレビ朝日系)が行ったのは、小田和正の特集であった。

 まず番組は、小田和正のヒストリーを紹介。ここで、いきなり味噌がついた。「1969年 オフコース結成」というナレーションとともに映し出されたのは、オフコース5人のメンバーショットだったのだ。そもそも、オフコースは小田、鈴木康博、地主道夫による3人組としてスタートしたバンドだ。ナレーションと映像がチグハグになっている。生粋のファンからすると、完全に怒りポイントだっただろう。

 その後、すぐに「1979年 『さよなら/汐風のなかで』が大ヒット!!」へとトピックは飛んだ。小田と鈴木によるフォークデュオだった時代(72年~)も、完全に無視されていたのだ。すごくいい曲が多い時期なのに……。最も引っかかったのは、「1982年 オフコース活動休止」なる記述だ。1982年に終焉したのは、5人のオフコース時代である。オリジナルメンバーである鈴木は脱退したが、その後も残り4人のメンバーでオフコースは続いた。バンドとして活動を休止したのは、1989年である。オフコースの2人時代、4人時代をなかったことにしないでほしい。

 そもそも、流れとして「1982年 オフコース活動休止」→「1991年 『Oh!Yeah!/ラブ・ストーリーは突然に』が270万枚売上」では、ヒストリーとして飛び飛びすぎる。オープニングの雑な編集については、強く指摘しておきたかった。

※『関ジャム』前週の玉置浩二特集レビューはこちら!

小田和正の声の魅力は、「高音」以上に「声質」

 この日、ゲストとして登場したのは、音楽プロデューサーの本間昭光、SUPER BEAVERの渋谷龍太、カウンターテナーの彌勒忠史3人だった。

 まず彌勒が取り上げたのは、小田が発する高音だ。彼が「オペラの高音男性歌手を超える声域」と称した小田のハイトーンがよく聴けるのは、オフコース「YES-YES-YES」での歌唱である。

「サビの高い『シ』の音は、フィギュアスケートでもお馴染みの(オペラ『トゥーランドット』より)『誰も寝てはならぬ』の1番高い音。そして恐ろしいことに、最後のサビでは転調してさらに高くなり、結局1番高い音が『ド♯』までいく」(彌勒)

 しかも、ただの高音ではない。

古田 「ファルセットじゃないんですよね」
村上 「地声でいってるから」
彌勒 「この音域だと、普通はポップスの人なんかでもファルセットを使うし」

 2017年3月放送『おはよう日本』(NHK)に出演した小田は、自身の高音についてこう述べている。

「オリジナルに近い感じでファンの方は聴きたいわけだから、その期待は裏切りたくない。キーを下げなきゃ歌えなくなったら、潔く身を引くのがいいなってぼんやり思っているんだけど」(小田)

 もう1点、付け加えたい。正直言うと、小田以上に高音が出せるミュージシャンは他にいる。例えば、Official髭男dismの藤原聡は明らかに小田よりもハイトーンのボーカリストだ。でも、高音が出せたとしても、それ以上に小田の声質が重要なのだ。小田和正というミュージシャンの強さは、声そのものが魅力的である点も大きい。

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