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相葉雅紀『“それ”がいる森』映画サイト軒並み酷評が「嘘だろ!?」な面白さ

一周回って斬新なホラーにするという気概

 そんなわけで、やはり客観的には出来がいいとは言えないところもあるが、それでも筆者は『“それ”がいる森』が大好きだ。それは、かつて1998年の『リング』で一世を風靡した中田秀夫監督の「本気で怖いあの頃のような内容はもう無理だから、もうこっちの方向でやってやろう!」という気概に満ち満ちているからだ。その証拠と言うべきか、中田監督は公式サイトで以下の文言を残している。

(前略)手を変え品を変え、ホラーに挑んできました。その理由は、ホラー映画は時代の空気感を敏感に吸うものだと思うからです。(中略)ジャパニーズホラーが誕生してから30年近く経っているので、そこからいかに脱皮しながら新しいホラーをお客様に提供していくか、今回ほど考えて現場でもチャレンジした作品はないかと思います。(後略)

 なるほど。『“それ”がいる森』の感想の中には「令和だぞ?」などと、ネタバレ厳禁部分の古風な発想にあきれている(喜んでいる?)意見も見かけたが、筆者はむしろ一周回って2022年の今に、こんな映画が作られること自体が斬新だと思えた。それはやはり、同じものを繰り返し作るばかりではなく、「脱皮」するほどの斬新さを求めた中田監督の気概が理由にあったのだと膝を打ったのだ、

 なお、中田監督による2つ前の映画『事故物件 恐い間取り』は興行収入23.4億円というヒットを遂げたものの、こちらも評価は決して芳しくなかった。だが、主人公たちの関係性のドラマはちゃんと作られていたし、何より爆笑もののクライマックスが待ち受けていたので個人的には大好きである。「この方向性」こそを期待すれば今後の中田監督作も楽しめそうだし、いつまでも「『リング』の監督」という認識を持たないでいたほうが良いのではないか。

 ちなみに、今後10月14日より『カラダ探し』、10月28日より『貞子DX』と、同様に若者をターゲットとしたと思しきホラーが連続で公開される。『ヘレディタリー/継承』のような良い意味で精神をすり減らす本気で怖いホラーもいいが、こうしたエンタメ性重視のホラーもまた良いと思うのだ。

 

 

『“それ”がいる森』
2022年9月30日公開
監督:中田秀夫
脚本:ブラジリィー・アン・山田、大石哲也
出演者:相葉雅紀、松本穂香、上原剣心、江口のりこ、眞島秀和、宇野祥平、松浦祐也、酒向芳、野間口徹、小日向文世
音楽:坂本秀一
撮影:今井孝博

ヒナタカ(映画ライター)

「ねとらぼ」「cinemas PLUS」「女子SPA!」「All About」などで執筆中の雑食系映画ライター。オールタイムベスト映画は『アイの歌声を聴かせて』。

Twitter:@HinatakaJeF

ひなたか

最終更新:2022/10/07 11:00
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