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恒例・元芸人が渾身の全ネタ分析!

ビスケットブラザーズ、 生理的に無理でも強制的に笑わせる暴れぶり!全ネタレビュー

文=檜山 豊(ひやま・ゆたか)

5番手は2年ぶり2回目の決勝進出『ロングコートダディ』

 M-1グランプリでも決勝進出を果たすなど、漫才でも実績を残しているコンビでネタのクオリティは折り紙付きだ。

 このお二人の強みは両方ともボケもツッコミも出来るということ。その形は笑い飯さんのようにボケツッコミを細かく入れ替えるというわけではなく、そのネタネタによって完璧にその役になり切り、ケースバイケースでボケのプロフェッショナル、ツッコミのプロフェッショナルと切り替えられるので、ロングコートダディの2人は憑依型といったところだろう。

 今回のネタはテレビ番組に出演したシェフの帽子が、看板に当たって落ちてしまうというひとつのボケを主軸にして、繰り返して笑いを増やしていくというシュールコントの王道スタイル。何度やってもシェフは帽子を落としてしまい、どうやったら落とさないようにできるかをひたすらスタッフが模索するというもので、かなりベタな手法なのだが、芝居の上手さとセリフの妙で、帽子が落ちるというひとつのボケだけでも十分笑いが起こるネタになっていた。

 ただこう言ったネタはどうしても主軸のボケにお客さんが慣れてしまい、徐々に笑いが減っていく。そうならないように主軸とは別の部分でボケの枝葉をつけていくのだが、枝葉の部分はあくまでも枝葉であり小手先の笑いに見えてしまうものだ。今回のネタはまさにその典型になってしまった気がする。

 後半いろいろな手法で笑いを起こしに行ったのだが、どうしても慣れには勝て、ず徐々に失速していった。こういったひとつのボケを主軸にしていくネタは中盤を越えたあたりで思い切って、違う展開を差し込まなければいけない。「これだ!」と思うボケに出会うとそのボケだけでネタを貫き通したくなる気持ちは痛いほどわかるのだが、それだとコンテストでは勝てない。コンテストで優勝することが目的ならば、ひとつのボケを主軸にしつつ、後半は違う展開を見せ、お客さんにバレないように2部構成にするのが勝つ為のテクニックだ。

 面白いネタを考える能力、芝居の上手さ、セリフの巧みさ、それぞれのキャラクター性、すべてが高次元にいる2人なので、今後はお客さんをいかに飽きさせないかをさらに研究してほしい。

6番手はファイナルステージまで進んだ『や団』

 2008年のキングオブコント第一回大会から出場し続け、今回初めて決勝進出を果たしたトリオ。全員40前後で、今のメンバーになってから15年。紹介VTRで他の組とはキングオブコントに懸ける思いも、芸人としての経験値も違うと豪語していた。

 名前や評判は聞いたことがあったのだが、きちんとネタを見るのは、今回が初めて。数々の大会で決勝進出や優勝を手にしているや団の皆さん。果たしてどういったネタが見れるのだろうか。

 決勝戦ファーストステージのネタは男3人でキャンプ場へバーベキューをしにきて、友人が死んだふりをしてドッキリを仕掛けたことから3人がズレていくというコント。ネタが始まってすぐは、バーベキューに来たテンションが高い男たちを演じており、大声でゆっくり喋る雰囲気は一見すると芝居が下手に見えてしまう。

 しかし友人が死んだふりをして、それを隠そうと立ち回るというドラマチックなシーンになってからは、芝居もシリアスな演技に変更され、演技の幅広さを垣間見ることが出来た。

 要所要所で「死後硬直が始まっちまう。いまのうちに小さく畳んでおこう」や「ノリがアメリカのシリアルキラーなのよ」などのブラックユーモアが入っており、全体的には大人向けのネタといった印象。こういったネタは老若男女問わず笑えるネタで無い代わりに、ボケなどに幼稚な部分が少なく、その分セリフなどでセンスを感じやすい為、高評価されやすい傾向にある。コンテスト向けの素晴らしいネタだ。

 ファイナルステージで披露したネタは、ファーストステージのような明るい感じではなく、雨の中年配の男性が雨宿りをするところからネタがスタートする。そこへ突如現れる傘もささずびしょびしょになった男性。実際に髪の毛や洋服を濡らして登場するのでインパクトは大きい。

 一瞬出オチのようなボケに見えそうだが、話が進んでいくうちに実は年配の男性が気象予報士で、びしょびしょになった男性はその天気予報を信じてしまったが故に傘を持たず外出し、ずぶ濡れになってしまったという展開。天気予報が外れたことを逆恨みして、いちゃもんをつけてくるというのが大まかなネタの概要なのだが、ボケ自体が単発で状況というよりはフレーズ単体で笑わせるようなものが多かったので、ファーストステージと比べると少し物足りなく感じてしまった。

 とは言え、ネタのアベレージはもちろん高く、さすがファイナルステージ進出者といったところだ。

 欲を言えば、ツッコミをしている本間キッドさんの芝居の感情が見えづらく、さらに音量が一定だったので、比較的同じような芝居をしている中嶋さんとの差別化を図る為にも、伊藤さん寄りのもっと芝居芝居している演技でも良かったのではないだろうか。そうすることによりさらにキャラクターの違いが明確にわかるので見ていてもっとワクワクするネタになるはずだ。や団の更なる進化を期待している。

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