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狂人・松村邦洋の天才性。ビートたけしものまねを“発見”レジェンドの半生

文=寺西ジャジューカ(てらにし・じゃじゅーか)

狂人・松村邦洋の天才性。ビートたけしものまねを発見レジェンドの半生の画像1
松村邦洋。『証言者バラエティ アンタウォッチマン!』(テレビ朝日系)公式Twitter(@neta_sand)より

 10月25日放送『証言者バラエティ アンタウォッチマン!』(テレビ朝日系)が特集したのは、松村邦洋。今回のタイトルは、「1997年の松村邦洋」である。

 コロッケが『ものまねグランプリ』(日本テレビ系)から卒業したのも、この放送と同じ10月25日だった。そんな日に松村が特集されるというのも運命的なものを感じるが、単なる偶然である。

 松村の半生を語る上で避けられないのは、2009年の東京マラソンだ。あのマラソンの15キロ地点手前で松村は倒れ、心肺停止状態になった。このときの出来事から松村は復活できて、本当によかった。そういう意味で、ビートたけしが幾度も重ねてきた復活劇に松村はあやかっている。

“松村以前”、ビートたけしをものまねする人はいなかった

 松村がものまねを始めたきっかけは、中学2年のときに同級生から「『戦場のメリークリスマス』のビートたけしに似ている」と言われたことである。

 あと、彼がものまねの腕を磨いた理由の1つとして、学生時代のいじめ経験も挙げられる。「withnews」のインタビュー(2021年3月23日付記事)にて、松村はこう答えている。

「普段はいじめられっ子なのに、怖い先輩のモノマネをすると、いじめられっ子にも強くものを言えるってことに気付いたんです。例えば、暴走族の人に絡まれた時、金八先生の加藤優のモノマネで『バカやってねぇで、真面目に働け』なんて言ってみたり。自分ではない誰かになることで、強くいられたんですよね。そんな自分にならせてくれるモノマネがあったから、いじめから生き延びられたんだと思います」

 88年、20歳のときに松村は素人参加型のものまね番組『発表!日本ものまね大賞!』(フジテレビ系)に出演、ビートたけしのものまねなどで大反響を巻き起こした。

 なにが衝撃だったって、それまでビートたけしのものまねをする人などいなかったのだ。そのショックと、あまりのそっくりさゆえ、観客と視聴者は震撼した。

 筆者の印象に残っているのは、デビュー間もない松村の『冗談画報』(フジテレビ系)におけるオンステージである。あまりに似すぎていたため、笑うより先に悲鳴を上げていた観客たち。これらの芸とキャラクターが評価され、松村邦洋のブレイクはわりと早かった印象がある。

 太田プロでデビューを果たした松村について証言するのは、当時、同じ太田プロに所属していた爆笑問題の2人だ。

「太田プロライブを俺らが始めていて、3回目ぐらいで松村君がまったく無名の素人で来て、(その日のライブを)全部持っていきましたよ。あ~れはびっくりしたよね。『こんな天才がいるのか!』と。あの衝撃は忘れられない」(太田)

 そのとき、松村が披露したのは、ビートたけし、石橋貴明、加藤優(TBSドラマ『3年B組金八先生』の主要人物)、古舘伊知郎などだったそうだ。

「たけしさん(のものまね)は今やみんなやるけど、ものまねって不思議なもんで、誰かがやるとできるようになるんですよ。発見なんですよ。『あ、こういうふうにやればいいのか』って。松村君は、だいたいのものまねの先駆者ですよ」(太田)

 どの部分に着目し、それをどう誇張すればいいのかの“発見”だ。だから、後に続く人は“ものまねのものまね”になってしまう傾向にある。事実、松村登場以前にたけしを描写する際、多くの人はせいぜいコマネチをするか、首を“クイッ”とひねるくらいしかできなかった。

 さらに、松村のものまねの衝撃の理由として、フリートークを模写していた点も挙げられる。お決まりのフレーズ(「こんばんは、森進一です」など)を繰り返すのではなく、“たけしが言いそうなこと”をたけしになりきり、とっさに口にする。だから、たけしが憑依しているように見えたのだ。そんな松村を、たけしも“愛い奴”と思っていたのだろう。自身の服(フィッチェのセーター)を松村にあげ、その格好でものまねするよう促していたものだ。

 他にも、彼が“発見”した例は数多い。堺雅人については2004年放送の大河ドラマ『新選組!』(NHK)の頃からまねしていたし、晩年の森光子をものまねし始めたときは、盲点すぎてのけぞった。「松村がなんだか物凄いことを始めた」と、戦慄が走ったのだ。晩年の森光子をまねしようと思う発想が、天才すぎてよく理解できない。

 そして、“発見”の究極形は、やはり『金八先生』の加藤優だと思うのだ。“たけしものまね”に関しては多くのフォロワーを生んだが、加藤優については松村以外の誰もまねていない。完全に彼の専売特許だ。他のものまね師も、手を付けるのは憚られたのだろう。まさに、畏怖の対象に近い大発見なのではないか?

 さらに、太田には松村との思い出がある。爆問と松村が新幹線で名古屋の営業先に向かっているとき、同じ新幹線に修学旅行生が乗っていたらしい。

「『ちょっと松村君、行こうよ!』って言って、俺が司会みたいな感じで『それではまず、ビートたけし!』って振って『(たけしのまねで)はい、どーも! こんにちは』って(松村が)言ったら、高校生が“ワァ~!”って大喜びして」(太田)

 2人でやるなら、まだわかる。でも、こういうことを松村は1人でもやっていた。今から約30年前、筆者が中学時代に読んだ雑誌「BIG tomorrow」(青春出版社)が松村を特集していたのだが、そこには新ネタを試すべく、山手線の車内で突如大声でものまねし始める松村の姿がレポートされていた。こういう“修行”を、彼は1人日常的に行っていたらしい。

 周囲から見れば、ある意味、危険人物と思われたに違いない。でも、これは松村のストイックさを表すエピソードだとも思うのだ。

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