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連載「クリティカル・クリティーク VOL.9」

ちゃんみなからLE SSERAFIMまで、日韓の交流が生む新しいボーカル表現

文=つやちゃん

LE SSERAFIMが象徴する日韓音楽交流の活性化 下地を作ってきた2020年代ミュージシャンたちの画像1
LE SSERAFIM(オフィシャルサイトより)

 日韓の交流が活性化している。音楽シーンにおいて2020年代の大きな潮流のひとつになるに違いないその動きは、今年の夏以降特に盛り上がりを見せ、ポップミュージックの次なる可能性を示し始めている。

 今の景色を切り取るより先に、まずはここに至るまでの道程を整理しておかねばならない。さかのぼると、2010年代半ばに何人かのラッパーによってすでに魅力的な日韓の交流は行われていたからである。

 2015年にKOHHとLoota、Keith Ape、Okasian、JayAllDayらの共演によって生まれた「It G Ma」の世界的ヒットを象徴としつつ、ほかにもSKY-HI、Reddyによる「I Think, I Sing, I Say」やSALU、Ja Mezzによる「Pink is the New Black」(ともに2018年)、さらにはJP THE WAVYとSik-Kの「Just A Lil Bit」からMIYACHIとJay Parkによる「MESSIN」(ともに2019年)に至るまで、主に男性アーティストが先導する形で日韓における多くのリレーションシップが築かれてきた。

 しかし2022年の今、女性の力によって次なる日韓の交流が活性化している。4s4kiは韓国人ラッパー・swervyと「Freedom Kingdom」でコラボレーションを果たし、Elle Teresaも同じく韓国人ラッパーのAsh-Bと「Yellow Gang」で共演が叶った。両曲とも近い音楽性や共通するスタイルがあるラッパー同士のフィーチャリングであり、決してプロモーション先行ではない、双方の音楽性をリスペクトし合っての共作であることがわかる。

 ただ、4s4kiやElle Teresaのようにひとつの曲内でヴァースを蹴り合うだけが、コラボレーションの形ではない。今の日韓のクロスオーバーはもっと複雑な形で進行しており、そのシナジーはより一層サウンドの次元にまで影響を及ぼしている点を指摘したい。

 例えば、先日ひっそりとリリースされた、楽曲/MVともに高いクオリティを誇るAshley「KARMA feat. Jin Dogg」は、現在の国内シーンが坩堝と化していることを証明する事例としてより、多くのリスナーに聴かれるべきであろう。

 AshleyはラッパーのLUNAがその才能に惚れ、SOULHEADのTSUGUMIとJoe Ogawaがプロデュースする注目の新人アーティストだが、アメリカ人の父と日本/アメリカの血を引く母を両親に持つ彼女は「幼い頃に海外の歌手を真似て歌っていた」そうだ。それが理由かはわからないが、日本語と英語が捻じれながらも接近するような独特の発音を持っており、LIl’ Leise But GoldやKUMI(LOVE PSYCHEDELICO)のように日本語と英語が溶け合ったような技巧的な形ともまた違う、もっと荒々しく両言語の境目を崩していくスタイルが新しい。

 そして、Ashleyの血と発音を前後で支えるのは、両親が韓国人で在日三世として活動するJin Doggである。いつになく丁寧に日本語で韻を踏んでいく彼のラップも光る楽曲「KARMA」は、日韓という関係性はもちろんのこと、背後にアメリカを含みながらも日本語の新しい響きを届ける、非常に複雑なコンテクストの上に生まれた2022年のリアリティを伝える楽曲なのだ。

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