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アニメ映画『スラムダンク』声優の交代以外での不安と、覆せるかもしれない期待

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アニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』公式サイトより

 12月3日公開予定のアニメ映画『THE FIRST SLAM DUNK』の炎上騒動が起きた。90年代に放送されていたテレビアニメ版『スラムダンク』から「声優が総入れ替え」となり、そのファンから激烈な批判意見が続出したのである。

声優の交代そのものが炎上の理由ではない

 見誤ってはならないのは、声優の交代そのものが炎上の理由ではないということだ。すでに多くのメディアが指摘している通り、主たる問題は前売り券を販売した後、映画の公開が1ヶ月後に迫った11月4日という「発表のタイミング」だろう。

 真偽はどうあれ「声優の交代を発表すると旧アニメ版のファンは観にこないかもしれないから、先に前売り券(しかも一般は割引なしの1900円)を売っておく」ような不誠実さを感じさせてしまったのだから。発表初期の段階から声優の交代を告知していれば、ここまでの炎上にはならなかったという見方が強い。

 例えば、映画ではなくテレビアニメではあるが、『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』や『うる星やつら』も数十年の時を経ての再アニメ化がされ、こちらも声優が総入れ替えとなったものの、早めに発表しており、演技のクオティも高かったおかげもあってか炎上はしていない(かつ作品の評価そのものも高い)。「愛していた作品の声優の交代を受け入れる」土壌は間違いなくあるのだ。

 また、ベテラン声優の大塚明夫がこの件について「声優交代はなかなか受け入れ難いよね。その気持ち、決して否定はしません。みんないい仕事してたもん!」とツイートしたことも話題となった。大塚明夫自身『ルパン三世』の次元大介役を小林清志から受け継いでおり、だからこその「声優交代を受け入れ難い気持ちを否定はしない」という言葉は重くもある(リプではファンからの優しい言葉が投げかけられている)。

 人気キャラクターを受け継ぐプレッシャーは、『THE FIRST SLAM DUNK』の新キャスト陣もおそらく感じていることであるので、筆者としては彼らを応援する気持ちでいたい。

3DCGへの不安と、そこに至るまでの試行錯誤

 声優の交代とは全く関係ない事柄でも、今回の『THE FIRST SLAM DUNK』は不安要素が挙げられている。それは、3DCGを活用した作画だ。旧アニメ版のファンが同じ「手描き」の2Dアニメを求めていたということもあるが、そうでなくても予告編で少しだけ観られる映像から、違和感を覚えている人は多い。

 興味深いのは、松井俊之プロデューサーが企画実現に向けて奔走した旨が記された、公式サイトのインタビューで、そこには尋常ではない「執念」が見受けられる。何しろ、最初に原作事務所へオファーした2003年の時には断られ、2009年にやっと企画書を求められ計5本を提出。それからパイロットフィルムを、5年間の間に計4本も製作したそうだ。

 そのパイロットフィルムの2本目は、​​当時のCG業界では最先端を走る最大手の会社と組み、映画を制作できる体制を意識しながら着手したおかげもあって、実際に映画1本分のカロリーがかかっていたという。それでも原作事務所からの反応は「NO」で、原作者の井上雄彦本人から「次を最後にしましょう」との通告を受けた。そこから松井俊之プロデューサーは背水の陣で、2D作画ルックの3DCGと、手描きの2D作画、そしてハイブリッドという組み合わせで、徹底的に原作準拠にこだわって漫画を動かす表現にも挑戦していたそうだ。

 つまりは、現状の予告編で少しだけ観られる(おそらくは本編の)映像は、「『スラムダンク』の3DCGアニメ映画を作る」試練に挑み続け、試行錯誤の結果としてあるものなのだ。作り手が「ここまでした」事実がある以上、半端なものが完成した作品にあるはずはない、という期待はできるだろう。

 余談だが、2022年6月に公開された『ドラゴンボール超 スーパーヒーロー』は、3DCGをセルアニメの表現に近く仕上げた「セルルックCG」により作られたアニメ映画であり、キャラクターのかわいらしさやバトルの迫力に絶賛の声が相次いでいた。『THE FIRST SLAM DUNK』も、こちらに続く形で、日本の3DCGアニメ映画の躍進となる作品に仕上がっているのかもしれない。

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