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“キング・オブ・アウトロー”瓜田純士、『すずめの戸締まり』を観て気絶!「映画でこんなストレスを感じたのは初めてだ」

すずめを叱れない大人たちに「人としてどうなの?」


――では奥様にお尋ねします。まず、冒頭のすずめの息遣いにご立腹のようでしたが、それはなぜでしょう?

麗子 新海監督の作品は、前作も前々作も大好きだったので、今日はめちゃくちゃ期待していたんですよ。そしたらいきなり、子どもも観るような映画やのに、女の子の喘ぎ声がめっちゃ長いこと続いたじゃないですか。「うわ、何これ、嫌やな」と、しょっぱなから引いちゃいました。それはエッチの喘ぎ声じゃなく、お母さんを必死で探し回る少女の呼吸音だってことはほどなくしてわかるんですが、なんとなく「観客を引っ掛けよう」「売れる作品にはエロい感じのツカミも大事」という監督の下心みたいなもんを感じて、いきなり帰りたくなりました。そのあとの展開も、まったく深みのないシナリオが延々と続くもんやから、「純士、これあと何分続くんかな?」とヒソヒソ話をしたぐらい。

 ほんでまた、『呪術廻戦』みたいな妖怪じみたミミズも出てくるわ、『るろうに剣心』や『ルパン三世』みたいな音楽も持ってくるわで、売れるアニメの法則を使って盛り上げてこようとするのもすごく嫌で。……と言いつつまあ、結局は感動して5、6回は泣いたんですけどね。

――十分、元を取っているじゃないですか!

麗子 私ね、途中でわかったんですよ。最初はあざとい小技をいっぱい使ってきたけど、「あ、この監督の伝えたいことは結局、こういうことなんやな」と。それらのメッセージを受け取るたびに、自分の幼少期のことや、自分の子どもやペットのことを思い出して、泣きました。

――どんなメッセージを受け取ったのでしょう?

麗子 最近、人付き合いが希薄な世の中になってきているじゃないですか。だからこそ、行く先々で出会った人々との関係を大事にせなあかんよ、とか。たとえ血がつながっていなくても、人との絆を大事にせなあかんよ、とか。また、殺人や虐待のニュースも多い今やからこそ、愛や情けを大事にせなあかんし、ペットも大事にせなあかん、とか。あとは自殺防止的なメッセージやね。幼少期や思春期には悩みもいろいろあるかもしれへんけど、前を向いて頑張り続ければ笑える未来が待っているよ、とか。

 そういうことを伝えたいがために、薄っぺらいストーリーをずっと続けていたんやな。ま、「終わりよければすべてよし」とはこのことか、と最終的には思いました。

――薄っぺらいストーリーでしたか?

麗子 扉を開けて閉めるだけの話やのに、すごく長かったじゃないですか。そんな簡単なストーリーをあんなに引っ張らんでもええやろ、と思いました。

純士 人としてどうなの? と思うシーンもいくつかあったね。たとえばスナックの場面。すずめは、スナックのママやホステスに心配されてかこってもらっていたのに、猫が逃げたという理由で、勝手に店を飛び出しちゃう。結局、やったら、やりっぱなしなんですよ。で、夜遅くにしれっと帰ってくる。普通だったら激怒されて当たり前のシーンなのに、ママやホステスはたいして怒ることもなく、すずめが空腹だと知るなり、「さぁて」と腕を振るって、焼きうどんを作ったりしている。それって大人としてダメじゃないですか。もっと叱るべき場面じゃないですか。

 結局、監督のオナニーなんですよ。「そういう大人がイケている」と新海は思っているんですよ。ダメな小娘に説教もせず、「一緒に焼きうどん食~べよ♡」みたいな。それが良き理解者? 全然ちげーよ! ふざけてんのか! って。アニメって子どもも観るものだから、正しい道徳や倫理観も入れてかなきゃいけないのに、そのへんも新海は独りよがりなんだよなぁ……。

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