日刊サイゾー トップ > カルチャー > 本・マンガ  > 『インフォーマ』尼崎発の物語の終着点

ドラマ『インフォーマ』新キャストに森田剛、原作は重版決定

登場人物のセリフに込めた思い

ドラマ『インフォーマ』の撮影現場には、サイゾーからも差し入れが

 少し脱線してしまったが、『インフォーマ』にはその経験をすべて詰め込んでいる現在の集大成だ。もちろん小説である。ノンフィクションではない。ただ生み出したセリフ一言一言には、世の中に訴えかけたいことを、小説では登場人物に、映像化では俳優部の人々に言葉にしてもらっている。

 世はソーシャルメディア全盛である。そこは暇を潰せるコンテンツで溢れている。だが、どれだけ時代が変わっても、大切なことは何も変わらない。自分の眼で見たこと、感じたことに勝ることはない。

 SNSの「いいね」の数やリツイートで、肌の温もりを感じることはできないし、思い出を作ることも残すこともできない。

 『インフォーマ』の主人公の木原は、それを代弁しているかのような生き方を貫いている。現代社会から見ればある種、滑稽に映るかもしれない。だが滑稽だからこそ、社会の流れに迎合しないからこそ、ロマンもレシも生まれるのである。

 活字が廃れゆく時代なのかもしれない。インターネットに、テレビが追い抜かれようとしている時代が到来しているのかもしれない。だからこそ、あえて私は活字で勝負している。

 21年前、浅田次郎さんの『鉄道員(ぽっぽや)』を読み、小説家を目指すことを決意した。今もその想いは何も変わっていない。こんな時代だからこそ、『インフォーマ』を観て、読んでもらえれば、それ以上の書き手としての冥利はないと思っている。

 偉そうなのはすまない。そもそも小説家など、どいつもこいつも気難しく、だいたい私のようにたいして売れてもいないくせに、偉そうなものなのだ。

 それもご愛嬌と思ってもらえれば幸いである。

(文=沖田臥竜/作家)

小説『インフォーマ』
沖田臥竜/サイゾー文芸
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週刊誌記者、三島寛治の日常はひとりの男によって一変させられる。その男の名は木原慶次郎。クセのあるヤクザではあったが、木原が口にした事柄が次々と現実になる。木原の奔放な言動に反発を覚えながらも、その情報力に魅了された三島は木原と行動をともにするようになる。そして、殺人も厭わない冷酷な集団と対峙することに‥‥。社会の表から裏まで各種情報を網羅し、それを自在に操ることで実体社会を意のままに動かす謎の集団「インフォーマ」とはいったい何者なのか⁉

ドラマ『インフォーマ』
https://www.ktv.jp/informa/

出演:桐谷健太 佐野玲於(GENERATIONS) 、森田 剛 ほか
原作・監修:沖田臥竜
総監督:藤井道人
 2023年1月19日に放送スタート。カンテレローカルドラマ枠「EDGE」で毎週木曜24時25分~ほか、Netflixで全世界配信。

 

作家。2014年、アウトローだった自らの経験をもとに物書きとして活動を始め、小説やノンフィクションなど多数の作品を発表。小説『ムショぼけ』(小学館)や小説『インフォーマ』(サイゾー文芸部)はドラマ化もされ話題に。最新刊は『インフォーマ2 ヒット・アンド・アウェイ』(同)、『ブラザーズ』(角川春樹事務所)。調査やコンサルティングを行う企業の経営者の顔を持つ。

Twitter:@pinlkiai

最終更新:2022/12/06 12:27
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