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2022年のホラー映画を丸ごと振り返る!清水崇監督インタビュー<後編>

「Kōkiに寄り添って一緒に作りたい」清水崇監督が「この子だ」と感じた理由

いまだに『リング』や『呪怨』に頼っていて大丈夫?

ーー「こういう日本のホラー映画が観たい!」という監督の希望はありますか?

清水 『ミッドサマー』や『LAMB/ラム』や『MEN』といった不可思議な、「一般の人に届くの?」と思うような路線の作品が、ホラー以外のジャンルでもいいので、もっと日本でも出てくるといいですよね。ジャンル分けは「ホラーですよ」「SFですよ」「キラキラした恋愛ものですよ」と、観たい人に観やすくするためにつけられているわけですけど、そうじゃない「これどうやって位置付ければいいんだ」「気味悪いけど面白い」という映画があってもいい。例えば、『ゲット・アウト』や『NOPE/ノープ』のジョーダン・ピール監督作がそうですよね。

 そういう意味では『きさらぎ駅』『N号棟』『“それ”がいる森』あたりはその路線に近づいているのかもしれないけど、邦画業界ではまだ、なかなか走りきれていません。おそらく、もっとわかりやすいものじゃないと、企画が通りづらいんでしょうね。

ーーネームバリューがある作品じゃないと、ということもあるでしょうし、だからこそ清水監督がホラー映画の第一人者として頼りにされているのだと思います。

清水 僕や中田秀夫監督が「ホラーと言えば」な監督になっているんですけど、それは有難い事ではあるのですが、かなりヤバいと思っています。僕としては、もっと20代や30代の若手や、女性の監督にも出てきてほしい。若手の人や女性にしかできない感覚のホラー映画は絶対にあると思います。僕が言うのもなんですけど、「いまだにホラーの代名詞が『リング』や『呪怨』だけで大丈夫?」って思いますよね。

ーー新しい才能がもっと出てきて欲しいですよね。

清水 そのほうがいいですよね。そう言う意味では『ミスミソウ』や『許された子どもたち』の内藤瑛亮監督に注目していましたけど、彼の根っこの思想はいじめや弱者で、必ずしもホラーに特化したものではないですね。それを言ったら、中田監督も僕もそうですけど。中田監督はもともと日活ロマンポルノが大好きで、日活に就職した東大出のエリートで、今でもメロドラマが好きって言っていますからね。

ーー清水監督はホラーがお好きですよね。

清水 おそらく中田監督よりは好きですよ(笑)。そこは中田監督にも同意してもらえると思います。それでも、やはり『リング』の人、『呪怨』の人、と言われ続ける。僕はもう50歳ですし、中田監督は61歳。自分から営業妨害しているようなことを言っていますけど、やっぱり僕たちにいつまでも頼っていたらダメだと思います。

 ただ、KADOKAWAさんが昨年から「日本ホラー映画大賞」という、日本のホラー映画を盛り上げようとする企画をやっています。僕も関わっているので、若手の発掘にはお力添えしたいですね。

ーーその若手監督の中で、注目されている方はいますか。

清水 撮影が終わって編集に差し掛かっている、日本ホラー映画大賞で第1回目の大賞を受賞した、下津優太監督の『みなに幸あれ』という映画が2023年に公開されます。古川琴音さんが主演で、僕も総合プロデュースで関わっていますので、ぜひ楽しみにしていただければと思います。

 他にも、平岡亜紀さんという、女優業だけでなく監督も始めた方にも注目しています。ホラー映画大賞に応募してきた彼女の短編が、僕はいちばんゾクゾクしました。第2回日本ホラー映画大賞の発表も1月末に控えてますので、たくさんの応募作品を観るのは大変ですが、楽しみです。真新しい感覚や才能に出逢い、悔しがらせて欲しいですね。

 2022年に公開された映画では『夜を越える旅』の萱野孝幸監督にも注目しています。福岡出身。2回観に行って、監督にもお会いしました。もっと撮って、さらに腕試しをしてほしいですね。

 他にも、2021年公開の『カウンセラー』の酒井善三監督がいます。村シリーズで共同で脚本を手がけていただいた保坂大輔さんからお薦めされて、これは凄いとなりましたね。

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